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○月×日『矢野昔話~将平~②』★
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一志との関係は完全に友達に位置付けされた高校1年の後半。
もうすぐ2年に上がるって頃、委員会で親しくなった3年生の先輩に告白された。
高校に入学してから告白された数は両手の指の数では足りなくなってる。
だからもう覚えてない。
その数多の告白に応えたのは2度だけ。
どちらも一志のせいで終わりを告げた。
先輩に告白されて、一番最初に俺が何を考えたかっていうと、どうせ付き合っても……また一志に寝とられるんじゃないかってことだ。
いや、最初の2人の時とは違う。
今は親友とまではいかないけど、かなり親しくなってる。
学校生活、一志と一番一緒にいるかもしれない。
そんなやつの、……友達の彼女、とるか……?
俺は先輩の告白に応えた。
先輩のことが好きかと問われたら、正直そうではない。
付き合ってもいいかと思うくらいには好きだけど、この交際には、打算があった。
一志が、俺との友情を壊すのかどうかが知りたかったからだ。
一志を親友と呼ぶには……信用がなかった。
俺が、一志との友情を大事にしたいと思い始めてたんだ。
俺は一志が友達として好きになってた。
今俺が望むのは、一志もそうであることだ。
だから、俺のことが好きなら、寝とるなんて形でなく、できれば……俺に愛を囁いて欲しかった。
けど、一志は俺の期待を見事に裏切って、3度目がおきることになる。
目の前で、頭を垂れて涙を拭い、謝罪をするのは先輩だった。
「好きなのは将平くんだけなの……」
もうこの光景も見飽きた。
「一志くんとはもう話もしない、だから許……」
「許す許さないとかじゃなくてさ……」
俺も、何毎回同じこと言ってるんだろうか…。
それより、彼女の口から、一志の名前が出て、より一層不快感が増した。
俺の友達と寝た女だ。
そうなるように仕組んだのは自分だ。
けどそうならない未来を望んでたんだ。
「あいつとは、好きにしてよ。俺には近寄らないでください」
まぁ、どうせ卒業していなくなる人だ。
泣きじゃくる彼女を置き去りにして、1人になれる場所を探した。
こうなることはわかってたのに、気持ちが落ち着かない。
なんでかって……、
思ってたのと違うからだ。
1度目や2度目と同じで、彼女を寝とられたことへの怒りはない。
けど一志が、俺との友情より、女と寝ることを選んだということにショックを受けてる。
女の子を雌虫扱いして、駆除と言った男。
俺を説き伏せるより、その方が楽なんだろうか?
それとも、俺にそんな価値はないってことなんだろうか。
俺は……女に一志をとられたって、思ってる。
だって、俺なら、友達の彼女を寝とったりしない。
一志は、前と気持ちは変わらないんだろうか……。
俺を女に取られたくないと、そう言ってた。
だから、また同じことをしたんだろうか。
俺が今抱いていてるこの気持ちを、一志も感じてたんだろうか。
そうじゃなかったら、俺のこの気持ちのやり場がなくなる。
……俺、なんでこんな気持ちになってるんだろう。
友達としては良い奴。
一志か、俺が女だったら、ありえた話だったかもしれない。
俺を抱きたいと言うあいつに、ありえないと思ったのは、男だからって理由以外にも、あいつの軽薄さが信用ならなかったから。
人のものに手を出すし、俺と寝たいと言ってたくせにあいつは俺一筋てわけでもなかった。
来る者拒まずで、何度とラブホテルへやつを見送ったことがある。
やつは、俺もその中の一人にしたいだけなんじゃないのか。
俺は、やつの好きな"見た目"だから。
だってあいつは俺を好きなんて1度も言ってない。
俺に告白してきてくれた子達は、みんな好きだと言ってくれた。
好きだから付き合いたいんだと。
けど、あいつは違う。
俺がこんな風貌じゃなかったら、友達というポジションにすらつかなかったかもしれない。
それほどに、一志の軽薄さがわかる。
そんな一志に、俺は抵抗してきた。
自分のプライドが許さなかったから、……他のやつらと、自分が同等なんて。
この気持ちがなんなのか、もう分かってる。
けど、言うつもりなんてない。
言ったら負けだ。
一志のことだ、だったら寝ようよ!て言ってくるに違いない。
だったら友達を演じ続けた方がマシだった。
いや、もうそれすら無理かもしれない。
俺は、体だけ繋がることなんてできない。
自由奔放なあいつを、自分にとどめて置ける自信もない。
それに、俺の場合は女の子とは違う。
男だし、いくら顔があいつのタイプでも、ずっと維持して置けるものじゃない。
つなぎ止めておける武器にはならない。
これから背だってもっと伸びるだろうし、骨格だって男らしくなっていくはず。
それにやっぱり、体は男なんだ。
あの女好きが、この体にハマるわけない。
「……はは、馬鹿だな」
さっきから、どうやって一志をつなぎとめて置けるか考えてる。
ここで縁を切って終わりにすればいい。
高校生活は短い。
あっという間に一志のいない世界に出れる。
なのに……、
「将平、すっげぇ探した」
一志の声に、反応できなかった。
俺の気持ちが何一つ固まってないからだ。
「なぁ、怒った?でも将平が悪いんだぜ?暫く女つくってなかったのに、俺に内緒でさぁ」
内緒にしていたわけではないけど、あえて言わなかったのは事実だ。
「女にモテても女見る目ないよ。俺がちょっと迫っただけですぐ股開くんだからさ」
確かに、そうかも。
自分で3度目があるかもしれないと予想もしてたくらいだ。
それか、よっぽど一志の口説き方が上手いんだろう。
「そうかもな。……女見る目ないなら、いっそ男に切り替えようかな」
一志の目は見ずに、少しヤケになって呟いた。
そんな気は無いけど、一志のことだから、だったら自分と寝ろと迫ってくるかもしれない。
それで、俺はまた一志に幻滅するんだろう。
下品な男だって。
それで終わりにすればいい。
「ダメだっ」
一志が声を荒らげた。
驚いて、咄嗟に一志の顔を見ると、さっきまでのヘラヘラした態度が嘘みたいに、一志は真剣な表情をしていた。
少し焦っているようにも見える。
「誰にもさわらせないからな。女だって我慢ならないから排除してるんだ。将平には俺だけだ。俺だけだからなっ」
一志の手が、俺の腕を掴む。
その力強さに、胸が痛いくらいに高鳴った。
「…………俺だけって?」
上手く言葉が出てこなかったけど、息を飲んでから言葉にした。
「将平と、寝るのは俺だけだ」
好きって、言ってくれればいいのに。
もうその表情が、声色が、そう言っているようなものだったけど……。
「……約束できるか?」
少し声が震えた。
けど、一志の目を真っ直ぐに見て、一志の様子を伺いながら言葉を紡いだ。
「え?」
「女とは寝ない。俺だけだって、約束できるのかってきいてるんだ」
顔が熱い。
恥ずかしい……。
それに、悔しい。
絆されて、結局俺の方が折れてる。
「するっ」
一志が俺の手を握る。
一志の目が、あの時と同じように、俺を映して、キラキラと輝いて見えた。
「約束するっ。将平っ」
今度は抱きしめられた。
いや、飛びつかれたって表現が正しいかも。
「すげぇ嬉しい。大事にするよ、将平…」
そっと顔を寄せられて、戸惑いながらも目を閉じると、ゆっくりキスされた。
人のいない校舎裏で、一志と初めてのキスをした。
好きだって、その言葉を聞きたかったけど、折れた方の……惚れた方の負けなんだよな。
もういいやって、一志が去って行くのは嫌だった。
だったら俺が折れたらいいんだ。
ただの興味じゃなかったんだ。
……ほんとは一目惚れだったんだ、きっと。
もしかしたら好きだなんて言葉、一志から聞けないかもしれない。
一志が念願を叶えたら捨てられるかも。
けど、悲しいけど仕方ない。
俺が一志のことを好きなんだから……
それからしばらくして、俺たちは2年に進級し、今回は一志と一緒のクラスになった。
始業式を終えて、一緒に帰宅する。
よくある流れで一志の部屋に上がり込むと、急にベッドに押し倒された。
こんな展開は、交際を始めてから初めてのことだった。
「ちょ、何…」
「したい。」
したいって……
言ってる意味が分からないわけじゃない。
けど、急すぎて驚いてる。
こんな日が来るとは思ってた。
実はもっと早い段階で来ると思ってた。
一志は最初から俺とヤりたがってたし。
けど俺は、一志が俺とヤって満足したら、用済みになて捨てられる……それが怖かった。
だから、そういった雰囲気作りには積極的にはなれなかった。
そう思うくらいに、この頃の俺は初めて一志を目にしたその日よりずっと一志に惚れてしまっていたから。
「すげ…、綺麗だ、将平…」
一志は俺の返事を待たずに、俺の制服を捲ると、肌に指を這わせ、感動しているような声を漏らす。
「……何言ってんだよ、そんなとこさわったって、胸もないし…」
「こんな綺麗なの、初めて見た」
「っ、ぁ」
一志の舌が肌を舐める。
乳首を舌で転がして、吸い付く。
「んっ、そんなとこ…、あっ、一志っ」
ズボンを脱がされ、恥ずかしくて脚を閉じようとすると、一志が腰を入れて防いでくる。
「すげ、」
「お前さっきからそればっか…」
すげぇすげ……て、何がそんなに凄いんだよと呆れる。
ただの男の体だ。
けど、俺の股の間にいる男は顔を赤く高揚させて、肩で息つぎしてるのが分かるくらい興奮してる様子だった。
「真っ白で、傷一つない……まるで陶器だ…」
こいつ……、俺の顔のことも芸術がどうとか言ってたな。
そういった事に感化されるタイプの人間なのかな。
「なぁ、急にされても準備してねぇし…」
一志と付き合うようになってから、いつ求められてもい良いようにと、それなりには準備してきた。
一志が俺とヤりたいってのは、俺を抱きたいってことなんだってのもわかってた。
俺がそっち側なんだろうなって。
最初に迫られた時も、そっち側がどうとか言ってたし。
だから、今朝もシャワーを浴びた時に少し弄ったりもしたけど、それきりだ。
「大丈夫」
そういって一志がコンドームと、透明な容器に入ったボトルを手に取る。
それが化粧水や乳液でないのはさすがに分かる。
「……それ、自分で用意したのか?」
「まぁ、それなりに、調べて。将平のこと傷つけたくないし」
そういった準備て意味で言ったわけじゃなかったけど、こういうことしてくれる奴だとは思ってなかった。
平気で"男だからゴムとかいらないだろ"て言ってくるタイプの人間かと思ってた。
少しだけ感動していると、一志がローションを垂らし始める。
「痛く、しない…と、思う。」
物凄い片言になってる。
緊張してるんだろうか。
男相手は初めてだとしても、絶対こういったことには慣れてるタイプなはずなのに。
実際、女の子相手でもこっちの経験だってありそうに見える。
本人に確かめたことは無いけれど……。
でも、俺だって男にこんな大股開くことになるとは思ってもみなかったんだから、恥ずかしいし緊張はしてる。
けど、俺より一志の方が見るからにやばそうだ。
ずっと「フゥフゥ」と聞こえるくらい肩で息をして、顔も真っ赤だ。
本当に、はち切れんばかりに興奮してるのがわかる。
「凄い……こんな所まで綺麗だ」
にゅ、と一志の指が入ってくる。
やっぱり自分の指とは違う。
一志のほうが太くて長いし、ゴツゴツしてる。
ローションを塗りこまれるみたいに、一志の指が中を探るように動く度に、腹の辺りがビクビクと震えた。
一志が俺のそこを解しながら、既に勃起したソレをズボン越しに俺の太腿に擦りつけてくる。
自分のより大きそうなソレが、俺の中に入るのを想像するのはとても困難なことだった。
俺にとっても初体験なんだ。
「将平……」
一志が覆いかぶさってくる。
それを抱きとめて、キスする。
「ん、っ……んっ、うっ」
キスに夢中になっていると、指が出ていった感触のあと、すぐそこに何かが当たったのがわかった。
「は、…一志、待って、」
「無理。もう無理、ごめんっ」
ずるっと、結構……いっきに一志のが身体の中に押し込まれる。
「ひっ、ぁぁ、あっ」
息をつく間もなく、一志が腰を打ち付けてくる。
「あっ!ちょ……っ、嘘…、痛いって、」
「ごめん、マジで、ごめんっ、無理、無理だっ、将平っ」
ギュウギュウ抱きしめられて、逃げ場を失った中、容赦なく一志に突かれた。
もう一志は興奮しすぎて止まんないって感じで、腰を振る。
俺は一志の背中に爪を立てながら痛みに堪えた。
たまにピリピリと気持ちいいような波はあったけど、直ぐにどこか消えてしまったのは、一志の腰が容赦なく動くせいだ。
俺とは真逆に、一志は気持ちよくて堪らないって顔をしてる。
それを見ていると、痛みなんてどうでもよくなってきてしまう。
俺の体に夢中な一志が可愛いかった。
「将平、すげぇいい…っ、好きだ、」
「っ、一志……かず…っ」
今、
「あっ、一志……っ」
キスして、お互いの体をきつく抱きしめあった。
「……っ、俺も、」
一志に応えたくて、重なる唇の隙間からそれだけ言葉にした。
この日から、一志との関係が色濃いものになっていった。
一志は俺に飽きることなく、日毎に俺を愛でる熱が高くなっている気がした。
けど、一志との初めてのセックスは、正直なとこ全然気持ちよくなかった。
痛いししんどいし、かなり強引に事を進められたので、一志自身に愛情と同時に怒りも湧いていた。
だから2度目に迫られた時はキッパリと断った。
こっちの意思を尊重して、一志自身の理性を保ってもらわなければ体がもちそうにないし、一志だけ気持ちよくなって、俺はそうじゃないなんて、そんなセックスになんの意味があるのか。
性欲、快楽のためだけにセックスするなんて、そんなのは俺の心が傷つく。
それが得たいだけなら、俺が相手じゃなくてもいいってことと同じだ。
だけどそんなこと口にしたら、一志は面倒くさがって俺を捨てるかもしれない。
そう思うくらいに、一志に好きだと言われても俺には自信がなかった。
何よりその言葉も興奮したセックスの最中の言葉だ。
最中に言った戯言だったら泣ける。
けど……
けど、一志との関係は、そうなったらそれまでなんだ。
結局、どうしようか悩み、暫く一志からのそっち方面の誘いを拒否し続けていたら、一志が平謝りしてきた。
これには正直驚いた。
興奮しすぎて調子に乗った、許して、もう一度チャンスを下さいと泣きつかれたので、俺は素直に許すことにした。
一志にこんなに謝られるほど悪いことされた訳でもない。
ただ急でビックリしただけだ。
初めてに特別こだわりは無いつもりだったけど、一志とは初めてだったんだ。
ちゃんと準備して、もっとお互い楽しみたかった。
だから、次があるなら叶えたい。
そうしてゆっくりと時間をかけて2度目に望んだ。
結果、結局一志は1度目と変わらず大興奮で最後の方は自分を見失ってるように見えたけど、俺も一緒に楽しめたから良しとした。
けど、一志は少し落ち込んでた。
こういう一志はすごく可愛い。
一志にとって、この2度目はリベンジも兼ねていたらしく、事が済んで冷静になった一志はうなだれていた。
一志は不服かもしれないけど、俺は、一志が俺に夢中でそうなってるってことなら、どんな一志でも可愛いと想えるし、愛しかった。
それからも、一志の家が母子家庭で、母親が夜に働きに出ていて家にいないのをいいことに、ほとんど一志の部屋でシた。
一志はよく学校でシたいと言っていたけど、断固拒否し続けた。
そんなハードルの高い、しかも不衛生な場所で、絶対嫌だった。
潔癖な訳では無いけど、普通に嫌だろう。
一志がおかしい。
一志と付き合っていて、最初はヤり捨てられるんじゃないかと不安もあったけど、一志は毎回飽きることなく俺の体を綺麗だ綺麗だと言って抱いたし、最中は興奮が爆発しそうな一志を見れているうちは俺に夢中なんだと安心していた。
そう、一志との関係は、驚くくらい上手くいってた。
俺に不安が生まれたのは、2年の夏。
それは俺の身長がついに一志を越した時のことだ。
並んで立つと同じくらいに見える。
けど身体測定で結果は明確になってしまった。
一志は俺に背を抜かれたことはなんとも思っていないようだった。
俺の測定結果を見て『一年でそんなに伸びるわけ?』と驚き混じりに笑ってたくらいだ。
けど、俺的には笑えない出来事だった。
笑えないってのは、俺と一志のセックスポジション的問題のことだ。
抱かれる側の俺の方がデカいって、アリなのか?
多分普通に考えたらアリだろう。
体格差でタチネコ決めたりしないと思う。
けど、俺が心配してるのは、一志が女好きてとこだ。
いくら俺の顔面が好きだからって、体は男だ。
しかも、今は一志よりデカい男だ。
一志的にはアリなのか?
無しと言われても縮むことなんてできない。
お互い、男が好きで付き合ってるわけじゃない。
お互いが……好きだからだ。
俺は、一志以外の男は有り得ないし……。
一志よりデカくたって、一志に抱かれたいと思う。
こんな俺の不安はよそに、一志は躊躇いもなく俺を抱き続けた。
この不安も、一志に抱かれる度に薄れていって、ただ一志への愛情だけが増していった。
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