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○月×日『迷い』
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"言わないで欲しいかな"
将平くんにそう言われたことによって、矢野くんに打ち明けようと出かかっていたものに、蓋を閉められて鍵をかけられたように感じた。
僕がノロマだから、優柔不断だから……
今更そんなこと後悔したって遅い。
だって、矢野くんに言う機会はあったんだ。
十分すぎるほどあった。
それくらい将平くんだって待っていてくれたということだ。
きっと将平くんだって、当初は矢野くんと打ち解ける関係になるとは思ってなかったんだろう。
小さい頃懐いていた弟とは外国へ行ったことによって関係が薄れてしまった。
物心ついた矢野くんは遠くの兄弟を気にかけることはなく、また将平くんも自分の夢に打ち込んでいてそれどころではなかったんだろう。
父と母から…と将平くんは言っていたから、そこからしか情報は得ていなかったんだろう。
矢野くんはうちの両親には猫をかぶってるけど、さすがに自分の家では違う。
不良……とまでは行かないけど、学校をさぼったり、ギリギリで進級したりと、危ういとこはあった。
矢野くんの両親からしたら僕との関係も、友達から子分になったくらいに思っているかもしれない…。
まさかレイプしてるとは思ってはいないだろうけど。
ご両親とたまに顔を会わせると"ごめんね、乱暴者だけど悪い子じゃないから、仲良くしてね"とよく言われた。
矢野くんが幼稚園の時から僕しか傍に置かないから、僕みたいな、明らかに矢野くんとはジャンルが違うやつでも友達がいないよりはいいと思ってるのかも。
逆にうちの母親は矢野くんに"うちの子なんかと仲良くしてくれてありがとうね"と言う。
矢野くんがキラキラ王子様してるから、身分不相応だけど矢野くんみたいな友達がいて誇らしいって顔をする。
母親同士仲が良いのにその辺はどうなってるのだうと思うけど、交流があったのも中学上がるまでだったから仕方ないかもしれない……
そんなことから、矢野くんのご両親が将平くんに報告する矢野くんは"いい子"ではなかったんだろうなと思う。
それにつけ加えて僕が帰国した将平くんに色々話してしまったから……
多分僕の言ったことが決定打になったに違いない。
将平くんは柳さんの事もあったし、当然矢野くんのことを良くは思わなかったんだろう。
僕を誘ったのは将平くんだけど、将平くんを協力者に……共犯者にしたのは僕だ。
その将平くんを無視していいわけが無い。
ほんと、今更どうしたらいいんだろう……
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