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○月×日『じゃれあい』
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矢野くんの部屋からリビングへ移動して、将平くんの買ってきてくれたケーキを食べる。
「普通ノックくらいするだろ」
「毎日受験勉強してるの知ってるんだからさ、今日に限ってエッチしてるなんて思わないよ」
将平くんの言葉に、ずっと火照ってる顔がもっと熱くなった気がした。
「受験生でも恋人なんだからシたっていいだろ」
矢野くんも顔が赤い。
怒りでってよりは、羞恥て意味でだろう。
そういえば将平くんが帰国した最初の日も見られてはいないけど、聞かれてはいたんだよね…。
やっぱり家族と同居してると難しい。
今まで何事もなくやってこれたのは、ただ運が良かっただけなのかもしれない。
「シちゃダメとは言ってないよ。けど人が帰ってきたのに気づかないくらい夢中になってるのは危ないと思うけどな。」
「父さん母さんは0時近い時間にしか帰ってこねぇよ」
「その油断が命取りだぞ。家族間でノックなんてあってないようなもんだろ。お前だってしないじゃないか」
「ぅ…、そうだけどさ」
「ほら、俺ばっかりが悪いわけじゃないだろ?」
将平くんがケーキをを1口口に入れて、矢野くんに向かって意地悪な顔で微笑む。
矢野くんが将平くんと言い争ってる間、僕は凄くいたたまれない。
将平くんが帰ってくるかもしれないのを分かっててシてたんだし、矢野くんが口で将平くんに勝てるとも思えないから、早いとこ言い争いは終わらせたい。
「昂平くん、恥ずかしいし、もういいからケーキ食べようよ……」
僕が小さい声でモゴモゴと矢野くんに話しかけると、矢野くんも自分の方が部が悪いのをわかっていたのか大人しくケーキを食べ出す。
「まぁ、受験でピリピリせず仲良くやってくれてていい事だと思うよ」
将平くんがすごくいい笑顔でそう言うものだから、余計に恥ずかしくなった。
いつもなら「うるせぇな!」とか反発する矢野くんも、今回ばかりは顔を赤くして黙っている。
誰に見られるのも恥ずかしいけど、やっぱり知っている人に見られるのは堪えるよね…。
「話は変わるけど、その後どう?変化ない?」
「ああ、一志のこと?全然現れねぇよ。」
急に柳さんの話になって、体に緊張が走る。
「何も無い方がいいんだけど、あんまり大人しいと逆に怪しいんだよな…」
「あっちもそんなに暇じゃないんだろ」
「だといいけどね。」
矢野くんと将平くんは話しながらあっという間にケーキを食べてしまう。
「まこと、それ苦手だった?」
将平くんが僕のお皿に半分ほど残ってるチョコケーキを指さす。
僕の手が止まってしまったのを、苦手なケーキだったのかと解釈したようだ。
「ぁ、ううん。好きだよ。……ちょっと、さっきのこと……思い出すと恥ずかしくて……」
柳さんの話を逸らしたくて、自分で終わらせた会話を再び引っ張り出す。
「まこと可愛かったもんね」
「兄貴っ、忘れろよっ、今すぐっ」
「それはちょっと難しいなぁ」
また2人がじゃれ合うように言い争いだす。
その横でほっと息を吐いた。
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