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○月×日『内緒話④』
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既婚者?
既婚者て、既に結婚してる人のことだよね。
そんなことはわかってるんだけど…
けどそれが柳さんて、どういうこと……?
「あの……、ほんとなんですか?既婚者て…」
だとしたら最低……
いや、最低より最悪……
最低より酷い罵り方て何かないのかな……
「まこと、敵のことはよく知っておかないと戦えないよ。」
「え……」
敵て、この場合は柳さんのことだよね。
「僕は将平に紹介される前からまことのことも知っていたしね。」
…………ルーカスさんは、敵にしたらほんとに怖いかもしれない。
「柳一志、28歳。会社員。結婚は23歳の頃で授かり婚。子供は男の子で今年5歳になる。結婚生活は1年で破綻してるから、現在は独身だね。日本ではバツイチて言うんだっけ?」
「ぇ、そうですね……バツイチ…」
ほんと怖い。
どうやって調べてるんだろ…
将平くんは社長さん…ルーカスさんはバカンス中て言ってたけど、ほんとは敵情視察してたんだろうか?
「…………将平くんは、知らないんですよね…?」
「知らなくてもいいことだよ。将平は終わらせたがってるんだし、まこともそうだろ?僕が柳一志を排除して終わり。そうだろ?」
「……排除?」
排除て……
…………どういう意味?
ルーカスさんと話してると簡単な単語が難しく感じるし、怖いものに聞こえる。
「まことは柳一志から連絡が来たら僕のことはなんでも話していいから。僕が将平を想ってることもね。けど、柳一志を排除しようとしてるってことは内緒だよ」
ルーカスさんは楽しそうに、綺麗に微笑む。
僕はそれが頼もしい反面、怖かった。
この人……ほんとうにやりそうだ。
「わっ」
僕のポケットの中でスマホの着信音が鳴った。
シンとした静かな部屋でやけに大きく聞こえる。
ルーカスさんを見ると"どうぞ"と着信に応えることへの許可が出る。
ポケットからスマホを出すと、ディスプレイには"矢野くん"の名前が表示されてた。
今この状況で"高橋くん"からじゃなくて安心した。
心の準備が全然出来てない。
ルーカスさんとのこの状況だけでいっぱいいっぱいなんだ。
「昂平くん、」
『ゆず、兄貴が出かけたからうち来いよ。迎えに行くから』
「え?急だね…」
『チャンスは逃したくないだろ。こないだの続きしようぜ』
「…………そうだね。お風呂まだだから、入ったら連絡するね」
通話を切ると、ルーカスさんを見た。
「昂平くんからでした。将平くんが出かけたから遊びに来ないかって。……僕、帰りますね。」
「将平出かけたの?」
「え?…はい。昂平くんはそう言ってました。」
「…………そうか」
「……?」
考え込むルーカスさんに、挨拶をして部屋を出た。
なにか気になることでもあるんだろうか。
とりあえず、僕は急いで帰ろう。
矢野くんが迎えに来る。
帰って支度しなきゃ行けない。
何事も無かったみたいに、シャワーで全部洗い流せたら楽になるのに…
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