アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
○月×日『Too late①』
-
その日は電話が鳴らなかった。
何度確認しても"高橋くん"からの着歴はなかった。
こちらから電話しようにも、柳さんにとって有益な情報はない。
いや、ルーカスさんのことを話せばいいのかもしれない。
彼が将平くんに好意を寄せているって情報だけでも大きな収穫かも…………けど、それを話してしまったあとは?
何を要求されるか分からない。
ルーカスさんは話していいと言っていたけど、話してしまったあとの事が怖い。
どんどん深みにハマっていってしまっているような……
……実際ハマってる。
抜け出せないとこまで来てるよね……
意を決して、スマホの"高橋くん"をタップしようとした時、スマホが震えた。
ドキッと胸が鳴った。
着信だ。
けどそれは"高橋くん"でなく"将平くん"からだった。
内心、あの人からでないことに安心して、スマホをタップした。
「はい、将平くん?」
「うん、まこと今から暇かな……昂平とまことに話したいことがあるんだ。」
「話し……?」
電話で言えないこと?
昂平くんも一緒に……て、
……柳さん絡みの話し……?
「将平くん……話って…」
「まことが良ければ今から昂平とそっちに行くから。どう?」
「え、……うん、大丈夫…」
家族と夕飯を済ませた後、自室で柳さんについて悶々としていただけだから、予定は無い。
「じゃあ、今から向かうから」
「うん……」
……なんだろう。
話したいことって……、
結局、将平くんの様子が変だった事については早朝、将平くんが仕事で出てしまって顔を合わせることができず聞けていないし、ついでに聞いてみようかな……。
とりあえず、部屋を軽く片付けておこう。
僕と矢野くんの家は近い。
今から行くってことは、すぐにつくってことだ。
柳さんへの電話は、その後にしよう……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
190 / 196