アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
○月×日『罪悪感』
-
「お前最近変だぞ」
真面目な顔で矢野くんが僕を見下ろした。
それに、まるで僕を気遣ってるみたいな言葉だ。
「…変…?」
戸惑う。
なんて言っていいかわからずに、変な返答をしてしまう。
「上の空だろ。ヤってる時以外」
床に落ちた服を拾って身につける矢野くんを、ベッドに寝ながら見上げる。
言われた言葉通りかもしれない。
先日の山梨先輩と篤也さんのこと、それに…
、僕自身だって気づいてる。
あの日から何もかも変わってしまったって。
でも、
矢野くんに秘密がある
1番の理由はそれだ。
矢野くんを見ると、罪悪感を感じるようになった。
僕たちは恋人じゃないから、罪悪感て表現はおかしいかもしれないけど、罪悪感に似た感情だ。
「変じゃないよ…僕」
でもきっと、矢野くんを好きなら当然の感情だと思う。
でもそれは、矢野くんに知られちゃいけない。
知られたら、罪悪感なんて痛みどころじゃ済まないのはわかる。
張り裂けて、立ち上がれなくなる。
「…あっそ。」
衣服を身につけ終わると、矢野くんは部屋から出て行った。
少しだけ、閉じたばかりのドアを見つめて僕も体を起こして服を拾う。
屈んだ拍子に床が濡れた。
雨みたいに徐々に徐々に速さを増して粒が落ちる。
矢野くんが好き。
でもそれが辛い。
僕のことを気遣ってくれる瞳に、言いたかった。
辛いよ、て。
この関係が、もう長くは続かないってわかってるから。
僕が自分でそうしてしまったから。
堪えられない涙を流しながら、言葉を飲み込むように唇を噛んだ。
矢野くん、僕…、篤也さんと…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 196