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○月×日『曇り顔』
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「柚野ちゃん」
スーパーの野菜売り場で足をとめていると、明るい声に呼ばれ、振り向くと山梨先輩がいた。
「ぁ…先輩、こんにちは」
「うん。またまた偶然だねぇ。柚野ちゃんおつかい?」
「え、ぁ…はい」
今夜の篤也さんのリクエストはハヤシライスで、その食材調達の途中だった。
家の夕食のお使いではないけど、山梨先輩にそう言うのも変だし、不信がられそうだから適当に相槌を打った。
「えっと、先輩も?」
「…うん、まぁね。……じゃ、またね」
一瞬だけ先輩の顔が曇る。
でもすぐにいつもの笑顔に戻って、先輩は手を振りながら去って行った。
先輩のあの顔は、前にも見たことがある気がする。
僕のことを、羨ましいと笑った時の先輩だ。
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