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○月×日『繰り返さないために』
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矢野くんの部屋でベッドを背に肩を並べてDVDを見る。
途中何度かウトウトして矢野くんの肩に頭をぶつけては目を瞬かせた。
「眠いなら寝たら?」
矢野くんが背後のベッドを視線で指してくるが、僕は小さく首を振った。
「なんもしねーて」
「……」
それを心配していたわけでは無いけど、確認が取れたので、僕はゆっくりとベッドに上がって布団に潜り込んだ。
眠かったはずなのに、矢野くんの香りに包まれるとなんだか目が冴えてきてしまった。
布団に潜っていれば眠くなるだろうと、目を閉じてじっとしていると、DVDが終わったのか、テレビを消す音がした。
フワリと髪を撫でられる感触の後、矢野くんがベッドに入ってくる。
僕の背中に矢野くんの胸がピッタリとくっつく。
矢野くんの腕が僕の体を抱きしめるように回される。
心臓が今にも破裂しそうな程ドクドクと脈打ち出す。
寝たふりをしていて不謹慎ではという気持ちもあっが、今この時を至福の時として胸に刻んでおこう。
……そう思った時、矢野くんの唇が髪に触れる気配がした。
軽いリップ音の後、小さく寝息が聞こえ始めた。
このベッドで、こんな穏やかな時を迎える日が来るなんて思わなかった。
矢野くんが完全に眠ったことを確認して、寝返りを打った。
矢野くんと向き合う形になり、柔らかい金色の髪に、白くて肌理の細い肌を指で触れてみる。
矢野くんは何もしないと言ったけど、なにもされたくないわけじゃない。
けど、僕達の関係が変わらないままでは今までと何も変わらない。
同じことを繰り返さないように、矢野くんと一定の距離を保ちながら、矢野くんに僕を好きになってもらえるように頑張ろう。
そう誓いながら、矢野くんの胸に頬を寄せて、ゆっくりと眠りについた。
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