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○月×日『共同生活』
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「おい、焦げてんじゃねえか」
「文句言わないで座っててくださいよ」
「意地はらねえでまことに任せとけばいいのによ」
「うるさいなぁ」
キッチンで言い争う……言い争う?
というよりは新婚がイチャついてる。そんな感じに近い。
そんな言い合いをしているのはこの部屋の主の篤也さんと、その恋人……か、どうかはまだわからない山梨先輩。
「食事は当番制にしようって決めたでしょう」
「日によって差が出るだろうな…」
「自分だってできないくせに文句ばっかり」
「文句も言いたくなるわ」
喧嘩をしている訳では無いので、そんなに気には止めない。
むしろ僕はお邪魔虫なんじゃないだろうか……
篤也さんの提案で篤也さんの部屋にお邪魔したのは昨日の事。
両親には遅れた分の勉強を先輩に見てもらうとか、適当な理由をつけたけど、最近の僕の様子が変だったこともあって、環境を変えるのは良いことだと納得してくれた様子だった。
早々にその日の夜に篤也さんの部屋へ移り、山梨先輩も交え三人で暮らすには狭いワンルームでの共同生活がスタートしてしまった。
今はというと、山梨先輩が作る朝食に篤也さんがケチをつけているところだ。
「柚野ちゃんお待たせ」
そう言って机に並んだ朝食は、篤也さんがケチをつけるほど悪いところは見当たらない、むしろ美味しそうなものだった。
「いただきます」
三人で食卓を囲んで先輩の作った朝食を口にする。
篤也さんは文句を言っていた割には箸を進めるスピードが早い。
美味しそうにほおばっている。
少しおかしくなって笑うと、篤也さんに軽く睨まれる。
「なにがおかしいんだよ、まこと」
「……だって、こんな篤也さん初めて見るから」
そう言うと、照れたのか視線を泳がせた後、朝食を口に詰め込み出す。
「こんな篤也て?」
先輩が真顔で僕に尋ねるから、更におかしくなる。
やっぱり顔を赤くした篤也さんが先輩を睨む。
「いーんだよそんなことは、早く飯食え。遅刻するぞ」
三人で共同生活なんて、どうなることかと思ったけど、これ自体は心配なさそう。楽しくやれそうだ。
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