アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〇月×日『恋する彼』
-
「矢野、彼女と別れたの?」
クラスメイトの1人が恐る恐るといった様子で矢野くんに尋ねる。
周りにいるクラスメイトも我関せずなんて顔をしながら聞き耳をたてているようだ。
矢野くんは僕の前の席に腰掛けながらファッション誌をつまらなそうに見ている。
雑誌から顔を上げてクラスメイトを見上げる。
「なんで?」
「いや、最近休み時間になっても教室にいるからさ…」
矢野くんは山梨先輩と付き合い出してから、パタリと先輩の教室通いをやめてしまった。
僕も不思議に思ってた。
「ああ。逆。今までは口説いてたの。今は付き合ってるから」
矢野くんの言葉にクラスが一喜一憂しだす。
男子生徒は騒ぎ立て、女子生徒の中には泣き出す子もいた。
「……先輩に言われたの?」
クラスメイトが騒がしい中、矢野くんに聞こえるように問いかけると、矢野くんはすねた顔をして見せた。
「あと少しで卒業て大事な時期だからな、なんか俺目立つみたいだし」
矢野くんが目立たないわけがないと思う。
「だから先輩のとこ行くのやめたんだね」
「まぁな。」
「偉いね、矢野くんが我慢するなんて」
「は?……お前最近生意気だぞ」
矢野くんが照れくさそうに僕を睨む。
こんな可愛い矢野くんが見れるなんて…
恋すると、人はこんなに変わるものなんだ……
できれば僕がこういう顔、矢野くんにさせたかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
94 / 196