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〇月×日『ご用心』
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色素の薄い髪
エメラルドグリーンの瞳
心地良く穏やかな声
静かな図書室でほんの短い間話しただけなのに彼の余韻が残ってる。
また僕を見つけたら、話しかけてくれるだろうか。
「おい、何ボーとしてんだ。授業終わったぞ」
矢野くんに話しかけられて、目が覚めた。
夢を見てるみたいな感覚で、頭の中は授業の内容ではなく土岐くんでいっぱいになってた。
前の席に矢野くんが座り、僕の顔をまじまじと見てくる。
「……な、何?」
「なんか顔赤くないか?」
「え、……そうかな」
自分の顔を手のひらで覆う。
ほんのり温かいだけだ。
「お前昨日まっすぐ帰ったのか」
「……図書室に寄ってから」
「あそこ使ってるのお前くらいじゃねぇの」
「そうかも…」
なんとなく、土岐くんと会ったことは言わなかった。
話した内容も、人に話せる内容ではなかったし。
……それに、矢野くんには知られたくなかった。
「ゆず、お前あの一年と関わるなよ」
「え?」
あの一年とは、土岐くんのことだろう。
「……なんで?」
「あの一年というより、あの一年の後ろに花村がいることが問題なんだよ。」
「ぁ…」
そうだった。
花村さんが"一筋"と言うくらいだから、相当なお気に入りに違いない。
僕なんかが土岐くんと仲良くなっても、花村さんはなんとも思わない気もするけど…。
「あいつには痛い目にあっただろ?」
「うん」
「用心するに越したことねぇよ」
「……うん。」
心の中でガッカリする自分がいる。
何でだろう。
なんで、こんな気持ちになるんだろう。
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