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「はい、2人分ですねー。それじゃ、30分間の幸せな時をお楽しみくださいませー!」
「よし、行くぞー!……って有馬?」
観覧車の案内役であろう女の人に促されていざ乗ろうと進み出したのもつかの間……
なぜか有馬が進んでくれない……
「……こ、こんなに…高い、の?」
有馬はゴンドラを目の前にして固まってしまって動こうとしない
仕方なく後ろで待ってる人を先に行かせたけど……このままだとずっと動かないままだろう
………まずい
…非常に言いづらいが…少しだけ乗るのを楽しみにしてたなんて……言えねーっ!
わしゃわしゃと自分の髪を乱暴にかきながらため息をついてると、有馬が遠慮がちに言ってきた
「ぼく……待ってるよ…?」
「……は?」
有馬は一生懸命笑顔をつくって再度おれに言ってきた
「待つのは得意だから…!30分なんてあっという間だよ!!」
………
呆れてなにも言えない……
有馬はどうやらおれ1人で乗ってこいと言ってるみたいで、心細いのをガマンするみたいに笑った
……ほんとバカ
はぁーっとため息をついて有馬の頬をぐにーっと引っ張って膝を曲げる
「ばーか。こんなんはな、1人で乗ったってなんも面白くもねぇんだよ!……だからそんなムリに笑うな」
「………ひゃい」
「……っよし、じゃあ行くぞー」
ははっと笑ったあとに、観覧車に背を向けながら有馬の小さな手をとりキラキラと色とりどりに輝く世界へと歩いた
……待つのは得意ってどういう意味だ?
心に小さな疑問を抱えながら……
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