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運動会 お昼休憩 残り1時間10分
「……美味しい!!」
おじさんとすこし大きなお弁当を囲んで、なんだろ…ぐちゃぐちゃのお芋を食べる。
「えッほんとか!?肉じゃが初めてだからあんま自信無かったけど…よかったよかった」
ホッと息を吐くおじさん。
そんなおじさんを見てると、頑張って作ってくれたんだなってわかって嬉しくなる。
「ほら、おにぎりも作ったからたくさん食え。そんでもっていっぱい頑張ってこい」
「はぁーい。おじさん、ちゃんと起きててよ?」
「おーう、わかってるって」
「…っわああ!?」
僕が不安そうに見上げると、かるく笑って頭をぐしゃぐしゃされた。
うう…目がまわるよお……
お弁当を食べ終わると、しばらく2人でまったりと休んだ。
すると、向こうの方から美香ちゃんがやってきておじさんを後ろからぎゅっと抱きしめた。
「有馬くんのお父さんこんにちは〜今日髪結んでるんですね!かっこいいです!!」
「ああ、美香ちゃん。はいこんにちはー」
いきなり現れた美香ちゃんにおじさんは一瞬驚いたあとに、ぎこちない笑顔を見せた。
こころがズキッとした
「…おじさん!僕ちょっとトイレ行ってくるね!!」
あまりこの場に居たくなくて急いで靴を履いて離れる。
美香ちゃんは悪くない!誰も悪くない!僕のこころがおかしいだけ!!
息がきれるほど走って、たどり着いた場所は校庭の裏庭らしきところだった。近くにちらほらと遊具が見えて小さい子供の声が聞こえてくる。
「はあ、はあ……ぼくのバカバカ!いい子にしてなくちゃ…」
最近の僕はすこしわがままみたい。ずっとおじさんに僕だけを見てほしくて僕だけと話してほしいなんて思ってしまう。
いい子にしてなくちゃ……そうじゃないと嫌われちゃう…追い出されちゃう……
グッと息をのんでおじさんの所へと戻ろうと振り返ると、誰かにトンッとぶつかった。
驚いて前を見ると、背の高い男の人で優しい笑顔をぼくに向けた。
「大丈夫?痛いところはないかな?」
「…ご、ごめんなさい。ぼくは…大丈夫です」
ペタペタと怪我がないか、体を触りながら確認をされる。
「そお?よかった…優希の大事な友達に怪我させてなくて」
「え?お兄さん、優希くんのお兄さんなんですか?」
そう見上げて聞くと、にっこり笑って頷いたのがわかった。
でも、なんでか僕にはその優希くんにそっくりな笑顔が、その時すこし怖く感じたんだ。
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