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「…ッ有馬!!」
帰りの会も終わって靴を履いていたら、おじさんがこっちに走ってきた。
珍しいなぁ、走ってくるなんて
運動会が終わって、生徒はいったん教室に戻り、保護者の人達は片付けのお手伝いをしていた。
もちろん、おじさんも自分が使っていたテント場所を手伝っていた。
「…っおじさん!今日はほんとうにありがとう!!」
少し疲れ気味のおじさんにそう笑顔を向けると、ふわっと頭を撫でられる。
「…よし!!んじゃ、今日はどっか食べに行くか?お前頑張ったしな?」
「えっ、いいの!?…嬉しすぎる」
両手で顔をおおい、はにかむと、大げさだって笑われてしまった。
でも、でも、すごく嬉しい…!!
帰りはおじさんと手を繋ぎ、歩いて家に帰った。
夕日がやさしく照らしてくれる帰り道は、どこか寂しくて、静かで、ここちよかった。
おじさんはペラペラ喋る方じゃなく、どっちかっていうと寡黙で、落ち着いてる。
だから帰り道は虫の鳴き声や木々の音が聞こえて、耳に優しくのこった。
……右手があったかい
ゆるく繋いだ大きい手とぼくの手。
たったそれだけの事に不思議とドクドクと高鳴って、ヘンなんだ。
チラッとおじさんを見上げ、きゅっと手を握りなおすと、ふふっと笑って握り返してくれた。
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