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文化祭 2日目 vol.11
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「泉いるー?」
泉は、奥の方で椅子に座っていた。
「あ、雛。」
俺に気づいたらしく、遅いわ、と一言言った
「ごめんごめん、」
「で、雛の母さんは?」
「帰った」
「はぁ帰ったん?」
もう?ほんまぁ。と、呑気な声
うん、と俺が頷くと泉は思い出したように聞いてきた
「ほんで、説得は?」
「出来たよ」
「ならええじゃん」
「うん。」
「俺と離とぉないー!って言うたんじゃろ?」
「はぁ?そんな事言う訳ないじゃん」
本当はちょびっと言ったけど…
「え、言うたん?」
なんで?!
「言ってない」
「言うたんかぁ…照れるわぁ」
なんでバレてんの…?!
「言ってないって!」
「相変わらず嘘つくんへったくそやのぉ」
「う、うるさいなぁ!」
「ま、ええわ。雛、回ろや」
くすくすと笑う泉。
太陽の光が当たったこの空間に、泉の存在は何だか暖かかった
「ぁ…それなんだけどさ、俺もうちょい手伝って行く事にしたから、先行ってていいよ」
泉の表情が一気に落ち込む
「ご、ごめん…」
「いや、ええんよ。ほいだら俺もやるわ」
「へ?」
サラッと爽やかな笑顔を向けられる
な、なんだって…?
「俺もやる言うとるの」
「いや、でもさ、泉ずっと働きっぱなしじゃん!」
「俺と居りたくないん?」
仔犬みたいにしゅん、とする泉
これは…かなりレアだ……
「?!?な、なんでそうなんの?」
「なんでって…彼氏じゃけぇ?」
少し考えてから、泉が口を開いた
「えぅ!?///」
そ、そっか…俺らつ、つつつつ付き合ってるんだよな…
驚いて奇声発したし…
「えぅってなんやのww」
「いや……//」
「おもろwwwwんま、そゆことじゃけ、行くか?」
一通り笑って、泉が立ち上がる
「雛、行こ」
「……ぁ、ぅ、うん//」
顔が熱い
頬が上気しているのが自分でもわかる
「…雛?」
「さ、、先行ってて」
声がうわずる
恥ずかしい
でも、嬉しい
「どしたん?」
心配したように、俺に近寄る泉
「ちっ、近寄るな!////」
「雛?おかしいで?」
コツコツと、泉の軍人風ブーツが俺の方へ向けられる
今、ここでこの真っ赤な顔を見られたら死ぬ
恥ずかしくて死ぬ
恥死する。うわ、新語出来た
「どっか痛いん?お腹?頭?あ、足?」
オカンみたいな口調で、俯く俺の目の前で手を振る
「雛?」
ぐいっ、と頬を挟まれて顔を上げさせられる
「ふぉ?!////」
「……」
「……//」
何か言えよ!///
「…ひな、ちゅーしてええ?」
ぐん、と泉の綺麗な顔が近づいてくる
「は?!?!///え、あの、泉くん?!////
顔、顔近っ、ま、ちょっ、待っ///」
俺が、わたわたしてたら泉は馬鹿にしたように離れた
「冗談じゃけど?」
へらりと笑われる
五秒前の本気で焦ってた自分を殴りたい
こんな学校で、真昼間にそんなことを男同士でするわけなんかないのに。
ほんの少し寂しがる、今の俺も殴りたい
バクバクと忙しく動く心臓の音で、俺の頭の中はいっぱいになった
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