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1日目 ひろむ
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ところで、ここはどこですか。
俺は案の定、あのまま死んでしまったらしい。最後の最後まで嘘つきだった、ああ、哀れむのはやめて?
ぜーんぶ俺が仕向けたことなんだから。
もう、面倒だったんだ。生きていくのが面倒だった。両親は他界、親戚もいない、養護施設で育ったけれど法螺吹きの俺はなじめなかった。フリーターとして派遣会社を転々としたけど、それももう馬鹿らしくなっちゃって、社会のゴミってまさしく俺のことだと思ったんだよ。愛してるけど、俺は俺を愛していたけれど。
他人に愛してるって言われるのも、もう疲れていた。次に誰かに愛を伝えられたら、もう死んでしまおうと、思ってたんだよ。
そしてたまたま、絶好の機会があっただけ、そうだよ、ぜーんぶ偶然で必然だった。
上手く死ねた、よかった。最後は誰かを助けて死ぬなんて恩着せがましいことしちゃったけど。
そう、上手く死ねたんだ。
身体の感覚はない、なにもない、なのにどうして俺の感情は、俺の思念は、生きてるの…?
そしてここは、一体誰の部屋なんだ?
透けた身体、足首には大きな鎖。それはこの部屋の真ん中に突き刺さっている杭と繋がっていて、この部屋から俺は出れない。ははーん、俺は幽霊になったんだ、49日は現世をさまようって、本当のことだったんだねぇ。
「ただい、ま…?え?」
のんきな事を考えていると、家主が帰ってきたらしい。ふーん、不良っぽい赤い髪、ピアス、腰パン。しかも制服ってことは高校生か。ふふ、若いなぁ。俺のことなんてどうせ見えないんだろうし、悪いけど49日の間ここに住ませてもらうね。極力おとなしくしておくからさー。
「なーに笑ってんだよ!!誰だお前?!」
え?!なに独り言喋ってる、大丈夫?この子、これが俗にいう中二病?どうみても高校生だけど…。
「お前だよお前!幽霊だろ!」
「え?!俺が見えるの?!」
「うわ、しかもこの杭…お前、死にたて?」
「えええーっ!キミ、何者?!」
「こっちのセリフだよ!なんでココに繋がれてんだ?!あーりーえーねー、49日間オナ禁とか」
しゃがみこんで頭を抱えてしまった不良くん。いや、なんでそんなに詳しいの?!
「ごめんね、俺死んだはずなんだけどなんかいつの間にかここにいてさ」
「……名前は、あんた」
「えー?ヒロでいいよ」
「ヒロ、お前よっぽどありえねぇ死に方したんだな。じゃねぇと49日間杭に繋がれたりしねぇから。」
「嘘?!やっぱりね!なんか変だと思った!これ取れないの?」
「無理。49日、お前は現世で何か一つ手にいれなきゃ成仏できねぇし、手にいれらんなきゃ悪霊になるんだよ。あーーーもう最悪だよ!なんで俺の部屋なんだよ!普通は未練のあるとこに繋がれるもんなんだよ、これは!」
「未練ーー?俺、この世に未練なんてこれっぽっちもないよ?ところでキミの名前は?どうして俺がみえるの?なんでそんなに詳しいの?」
「俺は祐介。寺の息子だからか知らねぇけど、幽霊とかそーいうの見えんの!あと知識はガキん頃から叩きこまれた」
「じゃあココはお寺なの?」
「違ぇ。ココは俺の下宿先だよ。高校付属のアパート。…繋がれちまったもんは仕方ねぇ、悪霊になんねぇようにせいぜい頑張れば。」
頭をぽりぽりと掻きながら、赤い髪の不良くんはベッドに寝転がった。
「オナニーするときは後ろ向いとくから気にしなくていいよ」
「しねぇよ!!!!!!」
うるさい奴。
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