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23日目 ゆうすけ
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ようやく馬鹿な友達が二人とも帰宅した。おいおい、まったく何日居座れば気が済むんだあいつらは。
はぁ、とため息をついて部屋に入ると、体育座りをしたヒロが膝に顔を埋めていた。
「ホンダ?」
「寂しかった」
「は?」
「嘘つき、友達いるじゃん」
「あー、うん」
「……久しぶりだね。まさかあんな何日も帰ってこないと思ってなかったよ」
「そーだな、友達きてたから喋れなかったしな」
「…ねぇ、俺の目みてよ」
「なんだよ」
「寂しかった。ってば。」
グレーのままのふたつまなこ、目の色が変わる気配はない。
「嘘つかねぇのかよ」
「キミには嘘ついてもバレちゃうんでしょ、この目の色で」
「そうだな」
「じゃあ俺はもう嘘つき失格だよ、どうしてくれんの」
「嘘つかなきゃいいじゃん」
「そしたらもう何もかもなくなっちゃった」
ぐぐぐっ、と眉がひそめられた。それでもそんなにヘラヘラすんのかよ。震えて見える唇が、無理に笑ってみせた。おいおい、どうしちゃったんだ。
「俺、キミがずっと居てくれたから実感わかなかったんだよ。キミが俺を視て話してくれるから、俺がもう死んだ人間だって、どうしても思えなかった。」
嘘つきの目の色は変わらない。
「でもキミの友達が来てから、すごく痛いほどわかっちゃった。気づいてもらえないことが、こんなにキツイなんて」
「…」
「今日は俺を抱きしめて寝て」
「俺はお前にさわれねぇんだよ、なに言ってんだよ」
「抱きしめて、寝てよ」
あの日、こいつがこの部屋に鎖で繋がれた日から、今日でもう23日が過ぎた。あともう少しで消えてしまう。そんな奴に、どうして俺は
「…はやく、こっち来れば」
どうして俺は、愛してやりたいと思うんだ。
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