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37日目 ゆうすけ
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「49日ってさぁ、長いと思ってたんだけど、一瞬だねぇ」
俺の雑誌をパラパラと捲りながらそう言った幽霊は足をぱたぱたとさせながらソファに座っている。
意味のない言葉にいちいち反応してる俺ってダセェ。
「ほんとは現世に未練があったんだろ、お前」
「なかったよ」
なかった、という過去形の言葉、バッと顔をあげてヒロをみると、にっこりと微笑まれた。なんだ、なんなんだその顔。なんで変わらないんだ、お前のその目の色、
「ふぅん。」
「でも見つけちゃった。」
「………まだ、言うなよ。」
「どうして?」
「お前の未練をお前が自覚して、それを口にしたらお前が消えるかもしんねぇだろ」
「ぶふふっ!!!なにそれ??!49日は現世を彷徨うんでしょ?未練のある場所に繋がれるんでしょ
?」
「詳しいことはわかんねぇ、わかんねぇから万が一お前が消えたら、」
「消えたら?」
「……嫌だ」
ただの俺の、ワガママだ。
まだあともう少し、もう少しだけ側にいて欲しい。
「なーに?寂しいの」
「うるせぇ」
ほんとのところ、最高49日間現世にとどまれるだけで、未練がなければ成仏しようと思えば出来るもんだ。
もし、こいつの未練が、もう晴れたとしたら。
「まだ行かないよ」
ふわっと飛んで俺のそばに来たヒロは、また綺麗な顔で微笑んだ。
目の色は、見えなかった。
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