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39日目 ひろむ
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幽霊になったら、へんな布切れみたいな服を着せられるイメージだったんだけど、服は死んだ日の服のまま。俺はパーカーを脱ぎすてて、上半身裸になってみる。元から貧相な体だったけど、死んでから見ると透けてるからもっとヤバイ。
「触って」
するり、と俺の体をすり抜けていく祐介くんの手のひらが虚しい。虚しい。ああ、虚しい。どうして、こんなにこんなにこんなにスキなのに、キミを愛しているのに、どうして、触れないんだろう。温もりも、愛も、どうして伝わらないんだろう。
俺のカラダはキミのカラダを冷やすだけ。
じっと見つめあう、キスをしようと唇に唇を寄せるけど、触れ合えない。触れ合え、ない。
「も、やめようぜ」
やめてよ、そんな泣きそうな顔しないで。
「もーー冗談だよ!やっぱ性欲はたまるんだよね、幽霊でもさ!」
嘘だよ、なにも感じないよ、俺に欲はないよ、ただ傲慢な事をいえば、キミに触りたい、キミは冷たいのか暖かいのか、この手で確かめたい。
好きだと言えたらよかった、好きだと言えばよかった、そうしてしまえば俺は楽だけど、俺が消えた後の祐介くんが可哀想だ。だから、最後まで嘘をつく。
「別にキミがすきなわけじゃないよ」
嘘をつく。
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