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君を想う
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「ひろむ、」
聞こえないはずの声が聞こえた。
思わずバッと振り向くと、ここにいるはずのない人が、いるはずのない存在がそこに立っていた。
「な、んで……」
「なんか俺も死んだみてぇ」
意味が、わからない。
「あ、後追い自殺…?」
「ちっげーよバカ。俺もビックリしてんだけど?お前まだ転生してなかったわけ」
「え?」
「俺、享年29歳なんだけど」
俺は長い間、ここで眠っていたらしい。
「どうして死んだの、」
「事故死。赤いワンピースの女の子を助けて」
「え、それって、」
そういうとにっこりと微笑まれた。その死因って、まったく俺と一緒なんだけど、
「人間運命って決まっててさ。寿命ももちろん決まってんだよ。俺はたまたま運命的にお前に約束果たしにくるのがちょっと早かっただけ…っ!うお、っ?!」
思わず祐介くんに抱きついた。
触れる、体温はないけど、触れる…!!本当だ、しっかりした大人のカラダになってる、そりゃそっか、29歳だもんね、そうだよね。
「なに、やってんだよ、なんであっさり死んでるのさ、バカじゃないの…なんでそんな嬉しそうな顔してんの、キミ自分が死んだんでしょ?バカ、バカ」
「お前なぁ、お前にとっては一瞬だったのかもしんねーけど、俺にとったら12年間も待ったんだぞ。お前に会えたのに、コレが嬉しくないわけがねぇだろ」
「ていうかなんで、現世で未練があるなら49日は現世にいなきゃいけないんでしょ、」
「未練ならここにある。」
そういって祐介くんは俺の頬を撫でた。「未練なんてお前しかないよ」といった祐介くんの両耳には光るオレンジのピアス。本当に、約束守ってくれたんだ。片方のピアスを外して、俺に渡してくる祐介は、「ちちんぷいぷい、叶ったな」と笑った。
俺は嬉しくって嬉しくって泣いた。
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