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クリスマス特別編1
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「祐介くーん?おかえりー!」
玄関の鍵を回してドアを開けると、どたどたと慌ただしく走ってきては、俺と目が合うなりぱあっと表情を明るくした弘が飛びついてくる。ぎゅーぎゅー抱きつかれて、すりすりと頬ずりをされると、弘の黒髪から、シャンプーのいい匂いがした。
「た、ただいま、…ってだから、すぐにペタペタ触ってくんじゃねーよ!」
弘の肩を掴んで、べりっと音がしそうなほど勢いよく引き剥がす。弘はきょとん顔でもするのかと思えば、ニヤニヤと笑いながら「恥ずかしがり屋さん。」と言った。だ、れ、の、せ、い、で…!
弘のことを一度睨んで、部屋に入るためにローファーを脱ぐ。背負っているスクバも重いしさっさと部屋に置きたい。
「祐介くーん?だめ。おかえりなさいのちゅーがまだだよ」
「っ、いいよそんなの!ちょ、っ、と、弘…」
「俺がしたいの。」
頬に手を添えられて、鼻先が触れそうになるまで距離をつめられる。ぎゅうっと目を瞑って、いち、に、さん秒、…ん?あれ、待っても待っても弘の唇がそれ以上近づく気配がない。片目だけうっすら開けてみると、弘はとっくに俺から離れていて、悪戯そうに笑ってる。
「やっぱ可愛いよ、祐介くん。俺が嘘つきってもう忘れちゃったのー?」
「ひーろーむー?テメェ大人気ねーぞ!馬鹿にすんのも大概に、んっ」
弘がくんっと背伸びをした。そして触れ合う、唇と、唇。
「まーだまだ甘いねぇ。ほら、ご飯出来てるよ。君が帰ってくるの待ってたら俺もお腹空いちゃった。」
「…。まてまて弘、お前が作ったわけ?!」
「そーだよ?祐介くんが好きそうなもの、ぜーんぶ鍋にいれたの。凄い匂いだけどなんとか食べれそう!」
「……そうかよ」
ざっけんなバカ!飯は俺が作るってあれ程言ったのになんで台所に立とうとすんのこいつは…!
弘は壊滅的に料理ができない。今までどうやって生きてきたのか問いただしたいほどに。指は切るわ鍋は焦がすわ…この間なんてカレーにみえる何かに人参が丸ごと入っていた。殺人的に壊滅料理、食ったら腹壊す気しかしない。けど、せっかく作ってくれたもん残せねぇしなぁ。
「ちょっとー、心の声が聴こえる気がするんだけどー?せっかく愛しの祐介くんのために?ご飯つくったのになー」
「あーー!わかったわかった!食うから!そんな唇尖らせんなよ!」
「んふふ、もう一回キスする?」
「しねーよ!!」
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