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12日目 ひろむ
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幽霊に感覚はない。
何かモノに触っても、触っているという感覚がない。
当たり前だけど性欲も食欲も睡眠欲もない。ほんと不死身になったみたい。浮けるし、自由だ。この鎖さえなければ。
「俺明日から夏休みなんだよ」
「へぇー?学生の夏休みなんて楽しいこといっぱいじゃん、よかったね!」
「友達がいたらな」
「…ッ、俺が、友達…だよ…」
なーに慣れない嘘ついてるんだか。
嘘つきを騙すにはそれ以上に上手い嘘つかなきゃだめだよ?
そんなの俺が嘘って見抜けないわけないのにな。気づかないふりしといてあげるよ、俺も退屈は嫌いだし。
「で、どうなわけ」
「ん?なにが?」
「手に入れなきゃなんないもの、なんか分かった?」
「あ、そういえばそんな話だったね」
「はあ?!お前忘れてたの?!」
「まーいいじゃない、あと一ヶ月以上あるわけだしー?」
「バカかお前、あと一ヶ月しかねーんだよ」
どうして他人の俺のためにそんな心配そうな目をするのかな、この子は。
つーか、俺もなに本当のこと言ってんの。適当になんとなく見つけたよーとかいっときゃいいものをさ。
あ、そっか、この子に嘘は通用しないんだった。嘘をついたってバレるんだから、それはもはや嘘じゃない。失敗作だ。もーほんと、厄介なことしてくれたよね、神様。俺から法螺吹きを奪ってしまえば、一体なにが残るっていうの。
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