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「...ここにも居ないか。何処行きやがったんだ巫女のやつ。」
怒って教室を飛び出してった巫女を探してっけど見つからない。渋る智にもおまえのせいなんだからとグチり、見つけて連れ戻してこいと別れて捜索に行かせた。
目星を付けて捜索するも校舎内には居なかったし、外ならあそこかもと校舎裏の花壇に向かう。
校舎を曲がると、遠目に巫女都と智を見つけて正太郎はホッとした。
居た居た。始めっからここ来りゃよかったな。...けどなんつうかな。かなりご立腹っぽかったもんな。
謝るのも違う気がするし、とその場で足を止め考えを巡らせていると、智が巫女都の腰に手を回しながら頬に手を添えるのが見えた。
「......何やってんだあいつ。馬鹿だな、触ると投げ飛ばされっぞ。」
あの体勢からじゃ低くて頭を打つな。逸そ花壇に刺さっちまえと、どうなるか見ててやろうと内心ほくそ笑んだが、智がキスをするのを見て時が止まる。
「あの野郎!! っ!?」
......んで、巫女投げ飛ばさないんだよ、
正太郎はキスをした智に怒り心頭だったが、それよりも巫女都が拒絶をしない事にショックを受けていた。
今まで、祭事に来ている客で無い限り、巫女は俺以外に触られれば投げ飛ばすのが当たり前だった。
そう思っていたから、巫女がどんな奴に言い寄られても、俺以外に気を許す事はないと高を括っていたのに、初めて見た自分以外のやつを受け入れる巫女に言い様の無い焦燥感を感じた。
......誰にも渡さねぇ、
正太郎はズカズカと2人の側に行くと、智の開襟シャツの背中側を鷲掴みし、後ろにグッと引き摺り倒す。
「....てめぇ、それなりの覚悟で巫女に手ぇだしたんだろうな?」
静かな怒りを湛えた正太郎が地面に引き倒した智にそう言う。
「正ちゃん!?待って!ちがっ、」
「 うるせぇ!! 巫女は黙ってろ!!」
自分の言葉を遮り、怒鳴る正太郎に巫女都はビクッとなり、続く言葉を紡げ無い。こんな怖い顔の正ちゃんは見たことない。
「......なにそれ、嫉妬?どーせ、おまえ、巫女ちゃんは自分以外は選ばないとか思ってたんだろ?」
不適な笑みでそう言う智に苛々する。巫女が俺以外を選ぶだと?そんな事あってたまるか。
「...だったら何だよ?てめぇにも他の誰にも渡す気はねぇ!他の奴に見す見すくれてやるくらいならな、巫女ぶっ殺して自分も死んだ方がマシだっ!!」
「 っ!?」
正太郎の言葉を聞き、その胸の内を知った巫女都は驚いて手で口を覆った。純粋に嬉しいと思った。正ちゃんがそんな風に思っててくれたなんて。
「......だって。ちゃんと聞いた、巫女ちゃん?」
立ち上がって制服をパンパン叩きながら言う智の言葉に、巫女都は声も出せずにうんうん頷いた。
「......? んだよ?」
2人を交互に見渡し、何がなんだか分からない正太郎は訝しげな顔をする。
「巫女ちゃんがおまえの本心知りたがってたから、一芝居打ったの!キスしてると思ったろ?するか、ボケ!まんまと騙されて本音暴露したと思えば、何だその真っ黒な胸の内は。重いわっ!」
「う、うっせぇ...。」
茶化すように言われ、真実を知りゃ途端に気恥ずかしくなる。やっちまったなと思ってたら、巫女が背中にしがみついてきた。
「...正ちゃん、...僕、ごめんね!」
「...俺も悪かった。過去は変えらんねぇけど、今はもう巫女しか要らねぇから、安心しろ。な?」
腰に回る巫女の手を握りながら言った。顔見て言うのはちっと照れくさいから。
「うん!正ちゃん大好きっ!」
「 はいはい。 俺も巫女が好きだよ。」
顔が見たくなって振り向くと、巫女は嬉しそうに笑ってる。
2人の世界に入った巫女都と正太郎をその場に残し、智はその場を立ち去ると「あーあ。損な役回り」とそうボヤいたが、ふと巫女都の唇に触れた自分の親指を見つめ、そっとその指を自分の唇に押し当てた。
「 まぁ、戦利品は戴いたし、これで良しとするか。」
少し物悲しそうにそう言った智の独り言を2人は知る由もなかった。
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