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夏越大祓の神事も粛々と進み、参加者が茅の輪潜りをして行くのを巫女都と正太郎は見ていた。
すると其所へ女子大生風の女性の集団が来て、正太郎を取り囲みここの神主なのかとか、彼女はいるのか、等々矢継ぎ早に質問を浴びせて一緒に写真を撮ったりしている。
初めは正太郎もちらちらと巫女都を気にしてしたが、これも神事に付き物だと、巫女都もニコニコみていたが、正太郎が満更でも無い様な顔で対応している事に少々腹が立ち、一人でその場を去った。
巫女都の家の神社は大きな神社の為、複数の鳥居がありその中でも大鳥居と呼ばれる一際大きな鳥居に差し掛かった。
鳥居を潜る時は神様に敬意を表し、一礼をし、真ん中は神様の通り道と言われている為左右どちらかに寄って潜らなければならない。
巫女都は礼に従い大鳥居に一礼し、右側に少し寄って歩き潜ろうとした。しかし、参拝客の集団がぶつかって来て、トンと真ん中に押し出される形で鳥居の真ん中を潜ってしまう。
その瞬間、ブワッと風が巻き起こり、思わず目を瞑ってその目を開けた時には巫女都の周りはただ真っ白な世界が広がっていた。
「.........なに?」
キョロキョロと辺りを見渡し、訳が分からず巫女都が戸惑いそう呟くと、【 久方ぶりに会えたね。 】と、声が聞こえるというよりは、そう頭の中に響いたという方が良い程、鮮明にその声は響く。
その声に巫女都は狼狽え、「.....誰、ですか?」
と再度辺りを見渡す。すると白い靄がかる遠くの方に黒袍を身に纏う人物が見えた。
....顔が良く見えないけど、衣冠を着てるって事は神職?...でも、黒袍を着るにはどう見ても若すぎる。...誰?
巫女都は頭を捻った。靄の中にいる人物は、全国で約2万1000人超居る神職の中でも、特級・一級と言われる約300人程しかいない、とても位の高い神職者が着る衣冠を身に纏っている。
「.....あの...神職の方ですか?」
【 美しい巫女よ 何れか我のものに 】
「 .....えっ? わっ!?」
そう頭の中で声が響くと、また風がブワッと吹いた。
「.....こ...巫女っ!!」
「.....正...ちゃん...?」
目を開けると、正ちゃんが肩を掴んで呼んでいた。僕はボーッとする頭を軽く振って周りを見渡すと、参拝客で賑わっていてあの白い世界は何処にも無い。
......なに今の、白昼夢...?
「...大丈夫か?なんかボーッとしてっけど。」
「........うん、」
茫然と立ち尽くす巫女都に正太郎は声を掛けた。
巫女都は心此処に有らずといった返事をし、正太郎の紺袍の端をギュッと握る。
【 美しい巫女よ 何れか我のものに 】
ずっとこの言葉が頭を駆け巡っていて言い様の無い恐怖が巫女都を襲っていた。
「.........巫女...?」
「.....正ちゃん、僕の事....離さないでね、」
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