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「絶対に認めん!!こんな物却下だ!!」
正太郎が吠えながらビリビリ紙を破くのを見て、巫女都は慌て、智が笑う。
7月に入り文化祭の準備が始まった。
この学校ではクラス単位の出し物の他に、学校投票で選ばれた生徒が全学年合同で演劇をするのが通例となっており、巫女都も正太郎も去年もこれに選抜されていた為、またか。と言った感じだが、正太郎は如何せんその配役に納得がいかないでいる。
昨年は七匹の子やぎで、巫女都は末の子やぎを、正太郎は狼を演じたが、今回は白雪姫だ。
正太郎は男子校で白雪姫などとアホな事を言い出したヤツをとっちめてやりたい気分になっている。
今年巫女都は主役に抜擢され、リアル白雪姫だと校内で騒がれているが、正太郎に言い渡された配役は"魔女"だ。
何故自分が魔女?とも思うが、それより何より王子役にあの柔道部主将の亮輔が抜擢された事に正太郎は納得出来ずにいた。
「 んで俺が魔女で、選りに選ってあいつが王子様なんだよ!絶対に却下だ!!」
「 正ちゃん落ち着いて、投票なんだからしょうが無いよ、ね?」
巫女都が一生懸命正太郎を宥めているのに、智が発破をかける。
「まあ妥当っちゃ妥当な配役だな。おまえと谷本先輩じゃ、どー見ても向こうが王子だな。正太郎悪人面だし、爽やかさの欠片も無いし。まぁ、魔女ってゆーより魔王だな。」
「....てめぇ、一口と言わずに毒りんご丸飲みさせっぞ。」
「 ははっ、やっぱお似合いじゃん魔女!超ーリアル。大体、ただの芝居じゃねぇかよ。四六時中、巫女ちゃんと一緒に居んだから、そのぐらい譲ってやれば?」
この嫉妬深さには呆れると、智は冷ややかな目で正太郎を見る。たかが芝居で、別に谷本先輩とどうこうなるわけじゃねぇのに。
「...お前な、白雪姫にはキスシーンがあんだぞ?公衆の面前であのムッツリと巫女にキスさせろってか?殺すぞ、てめぇ。」
俺はこれを死ぬほど心配していた。昨年もリアリティの追究だと、大きなチャックが付いた狼の衣装を着せられ、腹にしこたまレンガを詰められ、その重みに悶絶した。
そんな俺を見てレンガを詰める手を止めた巫女に、考案者である生徒会のメンバーは、ステージ袖から詰めろ、詰めろと指示するのを見て殺意が芽生えたくらいだ。
そんな生徒会が巫女とあいつのキスシーンをフリで終わらせるわけがねぇ。
「でも、唇に直接触れない様に、ちゃんとカバーつけてくれるって言ってたよ?」
「 へぇ。カバーがあろうがなかろうが、ヤツが巫女の半径1m以内に近付くのが嫌だ。」
「それじゃもうキスシーンうんぬんじゃねぇじゃんよ...。子供か!」
怒りの治まらない正ちゃんを見て、今日の放課後から始まる練習に僕は途轍も無く不安を感じた。
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