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.....行くのやだなぁ。今更辞めますなんて言えないし。
放課後、演劇の練習に向かう巫女都の足取りは重い。
「...んな顔するな。もう大人しくするから。」
それに気付いた正太郎は巫女都の頭を撫でて苦笑いし、巫女都も同じ様に苦笑いで返して、2人で体育館に向かう。
体育館に着くとまだメンバーが集まっておらず、人は疎らだった。
「 来たか。お前達二人共、そこに座れ。」
顔を見るなり荻島にそう言われ、二人揃って荻島の前に座ると荻島はうんざりしたような、がっかりしたような口調で話し始める。
「 お前達、...いや、正確には佐倉のせいで辞退を申し出るメンバーが後を絶たない。これでは毎年恒例の合同演劇が成り立たん。...よって、不本意ではあるが佐倉を王子役にしようと思う」
「.....マジで?」
「...ほんとですかっ?」
荻島の言葉に二人揃って聞き返すと、本当だ、と言われ巫女都と正太郎は顔を見合わせて盛大に喜んだが、「但し、演目は変える事にした。」と言われなんで?と思う。
「「 えっ!?...何に?」」
「 美女と野獣だ。まんまだが、佐倉が王子となるとこれ以外に思いつかないし、オペラ座の怪人とも思ったが、オペラ取り入れるとなると時間が足りん。従って美女と野獣に決定した。」
「......どっちにしろ、俺被り物じゃねぇか。」
亮輔に成り代わり巫女都の王子役を出来る事は嬉しいが、正太郎はその内容に素直に喜べない。なにせ去年も被り物だ。
「 正ちゃんっ!良かったねっ!これで安心だねぇ!」
「......う、うん。」
「ふふ、二年連続獣だねっ」
「................。」
斯くして演目変更をした劇の練習は、白雪姫の時が嘘の様にスムーズに進んだ。
「あ、荻島先輩、これ要らねぇや。」
「 しょ、正ちゃん、」
正太郎は唇のカバーに渡されていた薄いサランラップをポイッと投げた。
そんなこんなで遂に本番の日を迎え、本番もラストシーン以外は滞りなく進んだが、ラストのシーンで、正太郎は公開キスに恥ずかしがりながらも耐える巫女都に発情し、唇の隙間から舌を差し込んだ瞬間、羞恥に耐えきれなくなった巫女都に綺麗な一本背負いを決められた。
めでたし、めでたし?
とはいかず、本番終了後、荻島にコンコンとお説教をされる事となった。
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