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「あらぁ!良いじゃない!」
あのあと、あれよあれよと言う間に衣装合わせに連れて行かれ、白無垢一式、黒引き袖を決め、色打ち掛けに於ては琴子が西陣織と友禅で迷った挙げ句どちらも撮る事になり、その上十二単も追加し、計5着の和装を決めた。
翌日、写真のみの白無垢以外の物を着て紋付き袴姿の正太郎と二人、ちょっと照れながら撮影に臨んだが、最後の十二単に着替える頃には巫女都は疲れきっていて、更に総重量20㎏もある十二単の重みに笑顔は皆無であった。
「.......大丈夫か巫女。」
「.......全っ然、ダイジョバナイ。重くて潰れそう!...正ちゃんはいいなぁ、2着だけだし、軽そう。もう、これ今すぐ脱ぎたい。」
唖然と聞く正太郎に巫女都は苦しそうに答える。こんなもんを着て生活してた人がいるなんて、俄には信じがたい代物だ。
二人が並ぶと、カメラマンがにっこり笑ってと言ってきたけど、僕には無理そうだ。
「....正ちゃん、僕、全然笑えそうに無い。」
「...だな。でも、これで終わりだから頑張れ。折角こんな格好して二人で写真撮って貰うんだから、いい顔しろよ、俺の為に。」
にっと笑い正ちゃんが僕の頬を摘みながら言って、それを聞いて何それ。と返したけど僕は自然と笑みが零れてた。
翌週土曜日、白無垢を着てのプロモーションビデオ撮影が行われる事となり、朝から準備にてんやわんやだ。
先に着替えて神殿に入った正太郎はギョッとした。
中には留め袖を着た芳美は愚か、正太郎の父と兄の琥太郎までもが正装で親族席に座っている。
「 なんで琥太郎まで居るんだよ!? 」
「 大学が夏休みに入ったから家に戻って来たんだよ。...しかし疑似とはいえ、巫女都の相手がおまえ?役不足も良い所だな。俺と代われ。」
「 んでだよ。おめぇじゃ巫女に相手にもされねぇよ!巫女が俺を選んだの!おめぇじゃなくて、オ・レ!ざまあみろ!」
正太郎と琥太郎が火花を散らしていると、厳かな雰囲気を醸し出した白無垢姿の巫女都が粛々と神殿の中に入って来た。
それを見た誰もがその美しさに目を奪われ言葉を失い、巫女都は正太郎の前まで来ると気恥ずかしそうにはにかみながら聞いた。
「.....正ちゃん、どう...?」
「......凄げぇ...綺麗だ、」
正太郎はその姿を見つめ茫然と呟く。この世の者とは思えない程、綺麗だと思った。白い肌に紅を引いた紅い唇が際立っていて、俺はそこから目を放せなかった。
ボーッと見ている正ちゃんを、僕はふふと笑って手を取ると、神前式を行うべく外へ促した。乗り気じゃなかったプロモ撮影だけど、正ちゃんを見ていたらやってよかったと思ってた。
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