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......落ち着け、これはプロモ撮影だ!
無理っ!!全然落ち着けない!!!
参進の儀を前に、正太郎はガチガチに緊張している。対照的に巫女都はにこにこと楽しそうだ。
「正ちゃん、僕凄く嬉しい。プロモ撮影でも、正ちゃんとこうやって神様の前で誓って、皆に祝って貰ってる様な雰囲気味わえて。凄く...幸せな気分。」
「 ...巫女。そうだな。折角だし、こんなチャンス滅多に無いから、俺達は本チャンのつもりで誓いを立てるか。」
「うん」と正太郎の言葉に満面の笑みを返す巫女を見て、俺は幸せな気持ちになった。
入場、修祓、祝詞奏上に続き誓盃の儀で大中小三つの盃で三三九度。正太郎と巫女都は交互に御神酒を頂き永遠の契りを結んだ。
次の神楽奉納で、琴子が呼んだ巫女都の従姉妹が巫女神楽を披露したが、琴子のこれは後回しにしましょう。の一言で、次に移る事となる。
誓詞奏上
この誓いの詞を言う前に、正太郎は巫女都を見つめふぅと息を一つ吐くと、神の御前でこの上無く真剣に誓詞を誓った。
「今日のよき日大神の御前で私どもは結婚の式を挙げました。ここに結びました夫婦の契りを、変わらぬ愛情と信頼をもって育て、互いに協力して健全なる家庭を築き、社会に寄与し、明るく正しい人生を送ることを誓います。いく久しくお守護りお導き願いあげます。 夫、佐倉 正太郎」
「 妻、巫女都 」
言い終わり、ホッと息を吐いた俺は、巫女を見て驚いた。巫女のその目には泪が溜まっていて、俺の視線に気が付いた巫女が微笑んだ時、ツーと一筋の涙が流れた。
それを見て俺も微笑んて返し、親指の腹で優しくそれを拭う。この前も泣かしちまったけど、今日の涙は幸せの涙だ。だから嬉しい。
そんな二人に感化され、参列者達が涙を拭う光景が神殿内の彼方此方で拡がる。
玉串奉奠に続き、指輪の交換で二人は顔を見合わせて驚いた顔をした。
その揃いの指輪には誂えた様に内側にお互いの名前が彫られていて、シンプルなデザインながら、高価な物だと一目で分かる。
「........これって、」
巫女都の小さな呟きを聞き、斎主を務めている巫女都の父がにこやかに答えた。
「芳美ちゃんと琴子が二人の為に前々から用意していた物だよ。二人の気持ちを汲んで、慎んで受け取りなさい。況してや神の御前だ。決して軽い気持ちで嵌めてはいけないよ。」
「......パパ、...うん。 慎んで受け取ります。」
二人の母親からの素敵な贈り物を殊更大切にお互いの指に嵌めた。
親族杯の儀に移り、殆んどお互いの顔しか見ていなかった巫女都と正太郎は新婦父の席を見てギョッとする。
.........誰?
揃って同じ疑問を顔に張り付けていると、琴子が笑いながら教えてくれた。
「レンタルよ、レンタル。何でも借りられる時代で便利ねぇ。どう?ちょっと若くてイケメンでしょ?」
「いや、イケメンだけど...、ちょっと巫女の父親役には、......若すぎなんじゃ」
「....僕もそう思う。しかもパパも居るし、神聖な儀なのに。」
「 うるさいわよ。あんた達も良い思いしてるんだから、ちょっとくらい若い男侍らしても良いじゃない。」
開き直るママに何か言わねばと思っていたらパパが黙って首を振ってきて、その顔には何も言ってくれるな。と書いてあった。たぶん、面倒くさいんだと思う。
親族杯の儀では新婦側の父の番になると、若いイケメンでは無く、斎主である巫女都の父が盃を受け取り進めた。
続いて斎主挨拶になると、そこプロモに使わないからいいわ。と琴子の鶴の一声で省略となり、その一部始終を見ていた巫女都と正太郎は夫婦の主従関係を見て、これがマスオさんの実態かと思う。
無事、神前式を終えた巫女都と正太郎は式が終わって尚、その幸福感に浸っていた。指輪を嵌めたお互いの手を並べて微笑み合っていると、
「はーい、仲睦まじい所悪いけど、巫女都はとっとと着替えて支度して。」
と琴子が二人の間にグイッと割り込みそう言った。
「「 ......支度? 」」
巫女都は訝しげに、正太郎は初夜を期待しながら聞く。
「...正太郎、顔が劇的にエロくて気持ち悪いわ。誓詞奏上を述べてる時とは別人ね...。因みにあんたの想像している事とは違うわよ。郁子の巫女神楽が下手くそだから、巫女装束に着替えて巫女都がやりなさい。あ、千早もちゃんと着て頂戴ね。」
「 え!?新婦役の僕が巫女神楽まで舞ったら微妙じゃない?」
「 顔は何となくボカスか、引きで撮って貰うから平気よ。ほら早く早く!」
ママに言われ、何時もの巫女装束に正装の千早を羽織り、渋々巫女神楽を披露する事となったが、微妙な気分だ
自分の式を自分で祝うなんて...。なんか変なの。
...でも、今迄舞った中で一番心から祝えてるかも。
と巫女都は苦笑し、そんな巫女都の舞を見ていた正太郎も、額を合わせるおまじないをしていないのに、今迄で一番伸び伸び舞っているなと微笑みながら巫女都を見つめていた。
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