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「何かをなそうとするならそれに対して自分の時間を費やすのは当たり前の事。先達者の助言を頂き努力をするのは当たり前の事です。なのに貴方は神宮の女形としての自分では誰も本当の自分を見てくれないとか認めてもらえないとか言って。それが何故なのかと理由を考えもせず違う事を始めて女形というモノから逃げようとしている。違いますか?」
「それ、は……」
「図星でしょう。それでも貴方は逃げていないと言えますか?」
「…………」
次々投げかけられる言葉に、最後俺は何も言い返せなくなっていた。
叔父さんが言ってることはあってる。あってるっていうか本当に図星だ。
神宮の門下の女形俳優として初舞台を踏んだ時から、名門家『神宮』の名前はいつでもどこでも俺の後ろをついてまわり、それは時には俺を守る盾に、時には自身を傷付ける刃となった。
舞台に出ればあれが神宮の新しい舞手だと注目される。でもそれは一人でいる時だけ。
兄弟子の鈴音兄さんやトナミ兄さんといる時の俺はただの〝神宮家の門下生〟
〝天才女形神宮鈴音の弟弟子〟
〝美人女形神田トナミの弟弟子〟
一人でいる時は〝神宮の女形〟だ。
神宮・神宮・神宮・神宮。
いつもいつもついて回る名門家の名前が重荷に感じ始めたのはいつの頃だっただろうか。
幼い頃は気にすることはなかった。
気にしなくてよかった。
ただ。ただ思うがままに。楽しいという気持ちで大好きな舞いを舞えてたんだ。
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