アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
☆
-
ガッと首根っこを掴まれて後ろへ引っ張り剥がされそうになるけれど、それをなんとか踏ん張る。
「優馬から放れろ……っつんだよ!」
「いや、だ〜……っ」
最初はこの腕を放したら叔父さんが殴られてしまう、何がなんでもそれを阻止しなくちゃと腕に掴まっていたけど。グイグイと何度も引っ張られるうちに、最終こんな奴に負けるか、と意地になっている自分に気付く。
掴まれている腕の主はそんな俺と斗真のやりとりをポカンとした表情で眺めていて、叔父さんは叔父さんで多分呆れているんだろう小さく首を左右に振りつつ本日何度目かも忘れてしまった溜息をついていた。
暫くそのやり取りが続いて、流石に見ていられなくなったのか腕の主……優馬さんが「はいはい、ストップストップ」と俺と斗真に静止の言葉をかけてきた。
「えーっと、君は誰かな?」
「へ?」
突然問掛けられた質問に俺の口から気の抜けた声がもれる。
「あ、もう殴ったりなんかしないから腕放しても大丈夫だよ」
ね、と微笑みかけてきながらポンポンと俺の頭を撫でてくる。それに本当かなぁと訝しげな視線を送りながら、渋々優馬さんの腕を解放した。
「改めて君、誰? 初めましてだよね」
俺に視線を合わせる様に中腰になりながらもう一度問掛けられた言葉。
「おい優馬、コイツが誰だって別にいいだろ。俺達はリーダーを……」
__ガンッ
「だっ……」
自己紹介なんざしてる場合か、と非難の声をあげた斗真の顎に繰り出された会心の一撃。拳をまともに食らった斗真はそのまま地面に沈んでしまう。
優馬さんはそれを上から見下ろしながら低い声で「テメェは黙ってろ」と吐き捨て、それで? と今の目の前で起きたやりとりに青ざめる俺に向き直った。
「こいつが言う事は気にしなくていいからね。それで……あ、僕は高槻優馬っていいます。こっちの倒れてるのは兄の斗真。君は?」
「た、立花、鷹……です」
「鷹ちゃんっていうんだぁ。可愛い顔してるのにかっこいい名前だね。よろしく鷹ちゃん」
「は、はぁ……」
俺の手を掴んでにこやかにブンブンと握手をする優馬さん。
な、なんなんだろうこの人。なんか、変? ていうか鷹ちゃんって……?
「いきなり押しかけてごめんね。怖がらせちゃったかな?」
よしよしと未だ頭を撫でてくる手の間からちろりと彼を見やり「少しだけ」と答える。
「そっか、ごめんね。僕達はただここの社長さんに会いたいだけなんだ。でもねぇ、そこのチビ眼鏡がなかなか会わせてくれなくてね」
笑顔から一変、ギロリと鬼の形相で叔父さんを睨みつける。
「別に会わせないとは言ってませんよ僕は。ただ貴文さんもお忙しい身なので日を改めて来てくださいとお願いしているだけです」
「お願い? お願いですか。ええ、確かにひと月前に初めてここへ来た時はアポもとっていなかったし、突然押しかけた僕達にも批がありましたよね。だからその日は帰りました。素直にね。でもその後二度目三度目四度目……何度訪ねようと美月さんはいないいないの一点張りで会わせようともしない。流石に温厚な僕達でも怒っちゃうと思いません?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 29