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双子の兄弟、斗真と優馬
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優馬さんの突発発言後。
とりあえず落ち着けと斗真さんにバーガーショップへと連れてこられたんだけど……。
「ほら、食え」
席とって待ってろと言われたから窓際の四人席を確保して優馬さんと待っていた俺の前にドンッという音と共に現れたのは、トレーいっぱいのポテトフライとハンバーガーの山。
なんじゃこりゃ、と声に出さずジト目で彼を見上げると「ふっふっふっ」と気持ち悪い笑い声を返される。
「男ならなぁ、これっくらい食えんのが普通なの」
なんとか俺の性別が女だという誤解は解いたものの、次は男のくせになんだそのモヤシみたいな体型は! と怒られるはめになったんだけど。
「優馬は何食うよ?」
「ん〜。じゃあチーズダブルとアボカドワサビとチキン竜田とポテトフライ」
「はいよ」
え、そんなに!? と驚きにポカンとほうける俺の横で斗真が言ったものを別のトレーにより分けていく。最終優馬さんの目の前には八個のハンバーガーと山盛りのポテトフライがもられたけれど、彼はニコニコ笑顔でパクリパクリとそれらを食べ始めた。
「鷹は?」
「え!?」
「どれ食う? チーズかタルタルか……ああ、アボカドわさびも結構いけるぜ。貴先輩の大好物でよく食わされたんだ」
「じゃ、えと、そのアボカドのやつで……」
「ほれ」
優馬さんと同じ様にハンバーガーとその横にドサリと山のようなポテトフライをもられた。飲み物はコーラのLサイズが3つ並べられていて。
もうその時点でなんていうか……。
「んでよ、優馬。お前さっきの本気かよ」
「何が?」
「貴さんとこの所属タレントになるっての。お前芸能人とかサラサラ興味ねーだろ」
斗真の問い掛けに、優馬さんがポリポリとポテトを口に含みつつ「う~ん」と首を曲げる。
「そうだね。興味ないけどそうしないと貴さんの傍にいれないならやるしかないでしょ」
「まぁお前が突拍子もない事言うなんて今に始まった事じゃねーけどよ。けどそこでなんで僕と〝斗真も〟になるんだよ。やるならお前だけでやれよな」
「何言ってるの。今日日タレントともなったらそれなりに売れる要素も必要だよ。せっかく双子っていう武器があるんだから使わなきゃ損でしょ。僕達見てくれはいいんだから有意義に使わなきゃね」
「あーそう……」
言うだけ無駄だった、と頭をかかえ項垂れた斗真。
確かに海都兄さんも秋都兄さんも美人双子女形って有名だったもんな。性格は真反対だったけど。そう言えばなんかこの二人雰囲気が兄さん達にちょっと似てるかも……。
「そう言えば鷹ちゃんも貴さんの事務所に入ってるの?」
いきなり振られた話題に「へ?」と変な声を返してしまう。
「あ、いえ。俺は事務所じゃなくて流派の家に……神宮家の仕込み芸子で……あ、仕込み芸子っていうのは見習い女形っていうか、まだプロと呼べるほどの技術を有してない人の事で。俺は住み込みで兄弟子やお師匠様に舞を習ってるんです」
「あ、そうなんだ。じゃあタレントってわけじゃないんだね」
「はい。けど、実は今貴文さんにあの事務所で雑用係でもいいから雇ってくれって交渉中で」
「「雇ってくれって?」」
二人の声が重なる。
「タレントとしてじゃなく、アルバイトでって事?」
「はい」
「雇ってくれって、お前歳いくつよ。アルバイト出来るって年齢じゃないだろ? 中学生……だよな」
「お金に困ってる……って風でもないしねぇ」
二人してまじまじと俺の顔を覗き込んでくる。その圧に押され下向きになりながら「ええと」と話を続ける。
「お給料をもらえる仕事がしたいってわけじゃなくて。ただ、こう、なんてゆーか。自分にしか出来ない事っていうのをしたくて。でもそのやりたい事っていうのがなかなか見つからないからとりあえず神宮家を出てみようかなって。それで住み込みで働けるとこを探してるんですけど……」
なかなか、ないんです。年齢的に。といいつつ肩を落とせば、斗真が「当たり前だろ」と即答を返してくる。
「だってお前どうみてもお坊ちゃまって感じだし。力仕事とか出来ないだろ? てか中学生な上にしかも住み込みとか。ないない、ある筈がない」
「だからもしかしたら貴文さんの所だったら雑用でも雇ってもらえるかなって思ったんですけど……」
「断られた、と」
「はい……」
むしろ貴文さんは協力してくれようとしたけど、叔父さんとお師匠様が許してくれなかったんだよ。どちらかと言えば大ボスは叔父さんの方かもなんだけど。
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