アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
不思議なメンバー 4
-
棗は初対面の相手には大抵すぐ慣れて話をするタイプの人間であるからそう不思議と思わないが、馨はその真逆。なかなか会話についていけず黙って頷くだけ
それを見かねた鷹司が向かいの席からメニューを差し出してきた
「横で盛り上がってるみたいだしお前、まだ食えそうなら好きなもの頼め。金額はきにしなくていいから」
甘いものでも頼めとの事なのだろうか、馨は素直にメニューを受け取ると最後にあるデザートのメニューを見た
「……」
(何にしよう…)
正直パフェみたいに大きなものは食べられない、馨はメニューの右上に書かれているおすすめのレモンタルトというのを見て顔を上げる
すると鷹司と目が合い、決まったかと聞かれ黙って頷く
(なんだか行動を見透かされてるみたい…)
鷹司は店員を呼ぶとどれだと言い馨は決めていたレモンタルトを指さす
「これ1つ、あと珈琲のおかわりをお願いします」
店員がメモをする手を止めると、オーダーを伝えに厨房の方へと戻っていく
「なに、新。いい所見せてんの?」
一連の流れを見ていた神代が鷹司の肩を肘でぐりぐりと押しながら笑う
「そんなんじゃねぇよ。…ったく」
鷹司は軽く遇うと自分の資料に目を向け、作業に戻る
「なんだよ~素っ気ないな~…ま、いつもの事だけど」
神代も神代であっさりしており、鷹司が構ってくれないと解ると棗の方を向きなおり鷹司の学校での様子を聞き始めた
「新って学校でどんな感じ?やっぱ素っ気なくしてんの?」
その問いに棗と馨は顔を見合わせてしまう
(ここは素直に言った方がいいのだろうか…)
そんな風に棗が見え、馨は首を傾げるしかできなかった
「本人の前で、生徒に様子を聞くのは酷すぎるぞ」
資料に目を通しながら鷹司は神代を止める
「そう?うちの子達に聞くと素直に答えてくれるよ」
「お前のところはな。」
なんだか漫才を見ているような雰囲気になった
(先生は本当はこんななんだ…)
鷹司の新たな一面を知った気分で馨は少しうれしくなる
(…?なんで嬉しくなってんの…?)
自分の気持ちが良く解らなくなってきた馨は先程店員がもってきたレモンタルトを口に運び必死に“違う”“ありえないことだ”と自分に言い聞かせた
そんな馨を見て、鷹司は小さく鼻でわらっていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 104