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夏休み 1
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夏休み
馨は項垂れるような暑さにうんざりしていた
薄手のシャツに棗に選んでもらったハーフパンツ
ソファに座り、クーラーの下でうちわを扇ぎチューブアイスを口に入れる
(暑い…ほんとに…しにそ…)
テレビの天気キャスターが額から汗を流しながら真夏の交差点前でプラカードを指さしながら今年1番の暑さだと伝えている
(どおりで暑いわけだ…)
言葉も発したくないほどの暑さの中、玄関のチャイムが鳴り誰かが家へとやって来た
言わずもがな家に来たのは棗だった
「参ってるな~」
馨の様子を見て棗は豪快に笑う
「暑い…しぬ…」
もうでろでろに溶けてしまうのではないか。そんな気さえしていた
「棗は…元気だね」
部活用のショルダーバッグを肩から下げ、運動着で爽やかな汗をかく棗の姿を見て部活であったことを知り、感心する
「まぁ、俺はお前と違って健康だからな」
「人の事不健康みたいに言わないで」
「へーへー」
それだけ言うと棗は荷物を置き、汗を拭い、馨の母親が出してくれた冷たい麦茶を手に持ちながら馨の横へと座った
「身体、あれからなんともないか?」
「溶けそう以外なんともない。夏休みだから会うこともないし」
暑さで溶けたアイスを流し込みながら棗の問いに答える馨
夏休みに入ったことから教師である鷹司に会うことはまずない
「そっか」
棗は部活で学校に行っているため時折見かけるらしいが、別に何も言ってこないため気にはしていない様子だった
(夏休みの間会えないのか…)
そんなことを考え馨はハッとした
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