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修学旅行 7
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「おーい棗、そろそろ風呂行くぞ〜」
修学旅行も終盤に差し掛かり生徒のほとんどが帰るのが惜しいと思い始めるなか、自分のベッドの上で携帯の真っ暗な画面と睨み合う棗がいた
(おかしい、ここ最近馨からの返事が来ない…)
修学旅行の初日以降の馨からのメッセージの返事が来ないどころか既読にすらならない状況が続いており、些細なことの報告でも自分への返事を欠かした事のない馨からの初めての未読に胸騒ぎが止まらない
馨の身に何が起こっているのかはこの小さな端末の中でしか把握することができないのを今更になって後悔する
(鷹司もここに来てないし…まさかアイツまた馨に!)
よくない妄想が広がっていく棗は無意識に唇をキツく噛み、拳の中に折り込まれた指で手のひらの皮膚を爪を立てた
やはり無理にでも連れていくべきであったかと思うが発情期を控えている馨を連れての旅行は困難でしかないことは長年の付き合いで理解している
だからこそ余計に心配で仕方なかった。鷹司がこっちの旅行に来ているのであれば1番の不安要因は取り除けたのにと脳内で葛藤と戦う
「何してんだよ携帯なんかじっと見て」
「何してんだ〜?先行っちまうぞ?」
そんな棗の気持ちなど知りもしない同室のクラスメイトに肩を揺すられ自分の意識が携帯にだけ注がれていた事に驚くと、棗は携帯を背面へと伏せ彼等に短く謝るとひったくるように着替えとタオルを持つと立ち上がる
「ご、ごめん!ぼーっとしてた」
動きずらい館内スリッパを履くと棗は彼等と一緒に大浴場へと向かうべく部屋を後にする
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