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学校 1
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ピピピ… ピピピ…
部屋中に鳴り響く五月蠅い目覚ましを止めるために、馨(かおる)は布団から手だけを出し、それを止めた
「ぅ~ん…」
ガシャリと音を立てて目覚ましが止まると、部屋には再び静かな時間が流れる
朝のなんでもない時間が馨にとっては至福の時間だった
「………。」
(学校なんて行きたくないよ…。)
そう思った矢先、誰かが豪快に扉を開けて部屋へと入ってくる
雰囲気など御構い無しに…
「おい馨、起きろ!!…ったく、また行きたくない病かよ。」
母親みたいに毎朝起こしに来るこの高校生は穂高 棗(ほだか なつめ)
馨の幼馴染で、生まれた時からほとんど一緒に居る。学校も習い事も、時には食事だって一緒な事もある
そんな彼は馨と違って普通の生活を送れる権利を持っていた
「……やだ。行きたくない…」
小さな声でそう反抗をするが棗は馨の布団を構わずに勢いよく剥いだ
「…っ!! 棗…寒い。」
体を丸めて暖を求める馨の格好は薄く、そんな馨に棗はため息を漏らした
「お前またそんなうっすい格好で…。風邪ひくぞ」
「…むしろ引きたいから構わないし」
そんな事をぼやく馨の両手を、棗が掴んで無理やり起こす
ここまで来てやっと身支度をする段階までこれる
「……まだ来てないよな。」
棗が馨の前にしゃがみ込み、顔色などからそれを察した
「自分で来たら解るよ。…棗は物凄い心配性なんだ」
つっけんどんにそう言うと馨は立ち上がって学校の制服を手にとる
「へー、へー、悪ぅござんした。…ったく俺はお前が危ない目に合わないか心の底から心配だわ。」
頭を抱えてまたため息をはくと、棗は立ち上がり部屋を後にした
「もう飯出来てるって、おばさんが言ってた。ちゃんと食えよ。…外で待ってるから」
言い残しを守らないと後が怖いので、馨は身支度を済ませると薬やら絆創膏やらの入った小物入れを鞄に入れ、階段を降りてリビングの食卓についた
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