アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
薬
-
資料室を2人は出ると緊張の解けからなのか、馨が気を失った
「っ!!おい、馨っ」
その場に倒れこんだ馨を棗が揺すり、目を覚まさないのを確認すると担いで保健室まで連れて行く事にする
(…今日が予定じゃないはず。じゃあ、馨の番はあの鷹司って事か。)
棗は鷹司の言動を思い出し結論を出す
自分の手の中でぐったりとしている馨を見て、数回首を振ると重すぎるため息をついた
「……。」
正直、棗自身も馨のあんな顔を見た事はなかった
馨が本当に我慢できなかった時は棗が抜いたりしてやっていたが、あそこまでの過剰な反応は見ない
番に出会うとあんなにも変わってしまうのだろうか…
自分が番になれない悔しさと馨に対する感情が爆発しそうだった
(…ックソ!)
怒りを押し込めながら馨を保健室まで運ぶ
保健室へと入ると保険医がこちらを向いて小首を傾げた
「……珍しいコンビ…でもないか。どうしたの穂高くん。」
「薬、貰えますか?」
部屋にあるベッドへと馨を寝かせると保険医に聞いた
「……白雪くんのね。あるわよ。」
「すみません。こいつの薬入れ俺が置いてきちまって」
小さく謝り近くの椅子に腰掛けると、保険医は快く薬を渡してくれた
保険医のこの女性には馨の体質を話してはある。Ωである場合は少なからず保険医にそれ特有の書類を出さなくてはいけないからだ
「でも、珍しいわね。…白雪くんが保健室に来るなんて」
「……。」
訳を話せる状態なんかではなかった、むしろ認めたくなどなかったから彼女には黙ってやり過ごす
「……思春期だから不定期になる事もあるわよね。辛いだろうに、白雪くん」
保険医は馨の横に立つと触れようとはせず、布団を優しく掛け直してやる
(…この人は馨をよく見てるんだな)
他人と群れたりしない馨は勿論、他人に心を許してすらいない。触るのだって鳥肌が立つくらい嫌だと本人は言ってたこともある
「その薬、白雪くんが起きたら飲ませてあげてね。無理そうだったら今日は早退させてあげて…あと、落し物誰かに取られないようにね」
保険医の彼女はそれだけ言うと出張だからと言って保健室を出て行った
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 104