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夕方
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夕方になり、日が傾き始めた頃…
部屋に棗がやって来た
「…体調どうだ?」
通学カバンを置き、ジャケットを脱ぎ、馨のすぐそばまでやってくる棗
「平気、薬が効いてきたらだいぶ楽になった。」
「のわりには、顔色悪いな…。」
少し、青くなった馨の顔を見つめながら棗は呟く
「心配し過ぎだよ…。別に悪い所はないし、普通だから」
「あの後、クラスの奴等には説明してきた。…体調が朝から悪かったらしくて気持ち悪くなったらしいって」
「ん。ありがとう。」
棗は優しいから、幼馴染の馨を気遣ったんだとクラスの大半は思っているのだろう
「明日は行けそうか?」
「……お母さんが大事をとって休めって。」
「そうか、…それがいいと思う。」
「ごめんね、また迷惑かけて…」
普通の暮らしが許されている棗に自分が迷惑をかけてしまっている
負担をかけてしまっている…
「またそうやって自己嫌悪する。いいんだよ。俺もお前が心配だし好きだからやってるだけだし、その……何でも話せるのも、馨だけ、って言うか…」
「うん、俺も棗が好き」
「ッ!!…お前ってどうしてそういう所は素直なんだよ…」
頬を赤く染めだす棗は何処か普段と違い、自分だけがそれを見れていると思うと、とても特別な気持ちになった
「なに笑ってるんだよ」
「なんでもないよ?」
「ったく、…あ、そうだ、お前あの袋持ってるか?」
棗は何かを思いだしたかのように馨が落とした小物入れを持っているか聞いてくる
「あ、あれ?…棗が届けてくれたんじゃないの?」
「いや、俺はあの後職員室に行って先生に馨の事を伝えたら教室に戻るように言われたから保健室には戻ってないぞ?」
「…え?」
二人の間で疑問が生じる
「じゃ、じゃあ誰が…」
「こわっ、…てか、馨起きてたんじゃないのか?」
「ううん。クスリで眠くて…でも、誰かが来たのは知ってた。ぼんやりだけど見えてたから…」
人影だけが…
「ま、まぁ佐々木が誰かから拾ってもらってそれを届けたんじゃないか?」
佐々木とはうちのクラスの担任だ
「そうかな…」
(佐々木先生が頭撫でたりする…?)
第一、 馨は他人に触れられるのは好きではないし、佐々木もそれを知っているはずだ
(でもあの手は別に嫌な気持ちにならなかったし…)
一人、首を傾げていると棗が「考えすぎるなよ、熱でるぞ」と言った
「あ、うん。…そうする」
本当に誰だったのだろうか……
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