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不実
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教室に行くといつもの様に授業が始まり、終わる
馨に声をかけるものは誰もいない…、普段通りの日常だ
(はぁ…疲れる…。お昼に薬飲まなきゃ…。)
今日のこれからの予定を考え、窓の外をのんびりと眺めていると、不意に目の前が暗がりになった
「……?」
不思議に思い顔を上げるとそこには棗の姿があった
「次体育だぞ。…先行ってるから早く来いよ?」
「えっ、…あ、うん。」
「馨、休むだろ?生徒手帳貸せ。ついでに出しておくから」
言われるがままに生徒手帳を棗に差し出し、見送った後自分も支度を始める
(…面倒だな。)
カタリと席を立った瞬間
「サボりとは感心しないな。白雪」
「ッッ!!」
背筋が凍るような感覚だった
立ち竦んだまま、言葉を失い、大きく目を見開く
「…声も出ないほど俺が怖いか」
唇が震える、足も手も…身体のすべてがいうことを聞いてくれない…
首をかろうじて動かし、壁に寄りかかって此方を見ている鷹司を見据える
「あ、…ぁの、じゅ、ぎょぅ…が…」
授業があるからそこをどいてくれと言えない自分に腹が立つ
「ん?あぁ、どいてほしいのか」
その問いに何度も必死に首を振る
「だったら…」
鷹司が此方へと足を進め、徐々に距離が縮まる
(こ、ないで…)
そう思うのに、身体が勝手に反応を示す
「どうした白雪。顔が赤いぞ?」
(解っててやってる…)
なんとか後ろにたじろぎ、鷹司と距離をとってやり過ごそうとする
「それ以上、近づかないで下さい。…はぁっ、…っ」
「俺を欲しがるからか?」
「違う、貴方なんか…欲しくない。」
(嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘…)
「っ、欲しくない!!…番、だなんて、…」
そう思うと自然と涙が瞳からこぼれ落ちた
なにが悲しくて泣いているのか…
(……棗だ。)
棗を裏切りそうな自分が嫌で、……怖いんだ
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