アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
軽蔑
-
鷹司の言葉に馨は苛立ちと羞恥心の両方を抱いた。
(人のことをからかって遊んで、楽しんで変な条件だしてきたり、変に時々優しくしてきたり…これ以上掻き乱さないでほしい。)
「先生ってもしかして変わった人を好きになるタイプ?」
「んー?別に普通だぞ?普通に好きになったヤツを好きになるし手に入れたくなる。」
「白雪は?」
「あいつは普通だろ?ちょっと人と距離を置いておきたいタイプの人間なだけだ。別に変な趣味とか行動とかをとるような奴じゃないさ。」
楽しそうに話す鷹司に女子達が告げる。
「先生楽しそうだね。そんなに気になるの?」
「楽しそうに話してたか?」
「うん、凄く。」
自意識はなかったのか、鷹司は少し恥ずかしそうに笑い自分の後髪を触った。
「はずいな。…よし。さっきの話は言うなよ、誰にも。」
「先生が実はホモって話?」
ケラケラ笑う女子達の額を拳で軽く小突き、一緒になって笑いだす。
「こいつっー…」
「きゃーっ」
(馬鹿馬鹿しい。)
そんなひと笑いが終わると鷹司は女子達からカップケーキを受け取り、帰りを気をつけるように言い、職員室へと戻るためにこちらを振り返った。
「……あ。」
思わず目が合ってしまい、馨は咄嗟にコンクリートで出来た柱の影に隠れてしまう。
(もう遅いのに…。)
そう思うも隠れてしまったからにはどうすることも出来ない。
目を固く瞑り鞄の持ち手をぎゅぅぅっと握り息を浅くして堪える。
(来ないで、来ないで…。)
そんな風に思いながら…。
すると鷹司は何も無かったかのように職員室へと入り、馨の前から姿を消す。
「……。」
そろりと柱の影から顔を出し、廊下を確認するとそこには誰もおらず馨はホッと胸をなで下ろした。
「良かった…。」
馨はそのまま急いで職員室を抜け、棗の元へと走った。
自分が好きなのは棗…、鷹司じゃない。
そう言い聞かせながら。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 104