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一方その頃…
「お前が生徒と番にね〜…。」
「仕方ないだろ。見つけちまったんだし。」
鷹司は友人と一緒に喫茶店でこれまでの経緯を話していた。
「で?手は出したのかよ。」
「未遂。…つか出せるわけないだろ。番犬はいるわ、当の本人は嫌よ嫌よなんだから。」
それを聞いて友人はコーヒーカップを持ち、肩を揺らして笑った。
「笑うな。」
「だっ、だって珍しいにも程があるだろ!ひー…腹痛てぇ~〜!」
「珍しいもなにも今までが異常だっただけだ。」
「取っかえ引っ変えに抱いてたやつだしな。」
本当のことを言われ鷹司はゔっと押し黙る。
「あれは若気の至りだろ。」
「まぁ、今までの相手も満更じゃないみたいだったしな。そりゃ〜、αに抱かれるのは気持ちがいいだろうし?…にしても幾つ年下だ?高2って事は17だろ?お前が…」
「今年で25だ。」
「ほー、8つ年下が番になってくれるんならお盛んな毎日が過ごせそうだなぁ~?」
冗談交じりなのか友人は楽しそうな笑みを浮かべ、こちらを見つめていた。
「"番になれたら"の話な。」
「それもそうか。…でもΩが番を拒絶する事なんて有り得ない。その白雪姫がどこまで我慢できるかが問題だな。」
(白雪な。)
心の中でツッコミ、鷹司は苦笑しながら話を脱線させた。
「お前、昔から人の色恋沙汰になると目が光るよな。」
「面白いからな〜…。他人の色恋も歴史も。」
「はいはい、それなら歴史担当教師の生活は心配なさそうだな。」
「おうよ、お前も頑張れよ。番が見つかったんならきちんとセーブしろよ~、がっついて精神的にダメージを与えてもいい事ないからな。」
そう言うと友人はカップに入った珈琲を飲み干し、その分の料金を机に置くと帰る身支度を始めた。
「俺これからちょっと行かなきゃいけないから、また番になったら教えてくれよ〜。お前の唯一の大事な大事な友人なんだからよ。」
「お前以外にも友人はいっぱいいるよ。」
「照れんなって!!!んじゃな!!」
片手をあげて去っていく友人の後ろ姿を眺め、鷹司は珈琲の水面に映る自分に目を落とした。
(…がっつくな。まぁ、俺なりにセーブしたつもりだったけどな。)
鷹司は静かに息をはくと、7月にある期末テストの問題を作り始めた。
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