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1学期
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それからも鷹司は馨に近寄ろうとはしなかった。
朝無理やり起こされて、棗と一緒に学校に行って、クラスから体育の授業や清掃をしている姿を眺めて…
いつもと何も変わらない日々が戻ってきたはずなのに…
(…物足りない。)
そう思うのは自分の意志なのか、本能なのか。
「…鷹司先生。」
馨は頬杖をつきながら誰にも聞こえない位の声でそっと彼の名前を呟いた。
勿論、誰も気づかないし呟いた本人も何事もなかったかのように平然と外を眺めては目を細める。
気づくと1学期が終わろうとしていた。
蝉の声が鳴り響き、青々とした緑が…
「……?」
夏を語ろうとしていたその時、中庭に数本ある木の根元にあるものを見つける。
そこには根元に寄りかかりながら寝ている男がいた。
(…誰だろう。)
学校内では1度も見た事の無い顔で、制服も着ていないとすると大方、一般人だろう。
(大丈夫なのか…いや、関係の無いことには関わらないように。)
少し気になったが自分には関係がないと目を逸らそうとするが、烏が男の被っている帽子を狙おうと集まっていた。
(………〜ッ!!)
他人に無関心だった自分は何処に行ってしまったのだろう。
馨は勢いよく教室を飛び出し中庭の男の元へと向かった。
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