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キッカケ
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佐木と仲良くなりたい。
そんな気持ちを抑えられることもなく、1ヶ月程たったある日の昼休み。勇気を振り絞って倉橋は佐木に話しかけたのだ。
たった1ヶ月で学校一横暴だと噂される存在になった佐木。そう簡単に仲良くなれるとは思わなかった。だけど近くにいってみたい。
佐木は昼休みが始まるとすぐに何処かへ消えてしまうことを知っていたので、急いで佐木の席へ駆けた。
『佐木くん、良かったら一緒にお弁当食べない?』
倉橋のその一言に教室中の視線が集まる。
それもそのはず。怖そう。威張ってる。そんな理由で今まで誰も佐木に話しかける人なんかいなかった。
それなのに、クラスでもおとなしめで、まったく目立たないような男子が、話しかけているのだ。まるで爆弾に近づく子うさぎである。
異様な光景に静まり返る教室。
佐木は金髪の頭を気怠そうに持ち上げると倉橋に視線を向け言葉を放った。
『いらねえよバカ。話しかけんな。どっかいってろ』
ドキマギしながら話しかけたけれど、さすが金髪破天荒少年。帰ってきた返事はとても喜べるものでは無かった。機嫌が悪かったのかもしれない。倉橋はそう思うことにした。
一瞬間が空いたがすぐににっこり笑って、そっか、ごめんね。とひとこと呟く。
しょんぼりしながら自分の席に戻ろうと佐木に背を向け回れ右したとき。
コツン、と何かが後頭部に当たった。コロンと床に落ちたそれを見ると消しゴムだった。
投げたのは言うまでもない。佐木であった。
振り向いて目が合うと倉橋を指差しながら言った。
『お前、うざい』
きょとんとする倉橋。
でも誰もかばおうとはしなかった。
佐木はそれ以上何も言わずにすっくと立ち上がると何処かへ行ってしまった。
ぽつんと一人立ち尽くしたまま、床におちている消しゴムを見つめた。
その次の日から倉橋へのいじめがはじまった。
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