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実行
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(来てしまった。)
佐木におどされ、コンビニの前に佇む倉橋。
ずっと入り口にいたら、明らかに不自然。そう思いノロノロと中へ入る。
冷房のきいた店内の涼しい空気を肌で感じた瞬間、軽快なメロディーが鳴る。それとともにいらっしゃいませーと店員の明るい声。
夕方ということもあり、店内は仕事帰りの人で溢れていた。ここのコンビニは中々繁盛しているのだと誰かがいっていた気がする。
常に誰かしら客がいるし、多少波はあるけれど、空いているイメージはあまりない。
ーーー万引き。
その単語が頭をよぎる。
こんな馴染みのある店でそんなことして、もしバレたらどうなるんだろう。きっと沢山の人から信用を失くす。学校でも1人ぼっちの自分。そんな自分を、大事にしてくれる唯一の存在、家族だって、自分を嫌うだろう。
人に嫌われるのが怖い。一人ぼっちになるのが怖い。でも。
サプリや薬品が置いてある商品棚。その下にカラフルな箱が何種類か並んでいる。震える手で、そのうちの一つを掴む。
自分の行動と考えが矛盾している事は重々承知だ。そんなこと分かっている。けど仕方ないのだ。
頬に汗が伝う。首は動かさず目だけ動かして、誰も自分を見てないことを確認する。
レジをしていたり納品や品出しで忙しそうにしている店員。おそらくその中で倉橋の行動を監視しているものは一人もいなかった。
(どうしよう。このままポッケに入れちゃえば、僕は…)
右手は商品を持ち、左手でズボンのポケットを触った。そのとき。
「……ん?」
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