アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
振動
-
固い握手を交わしたあと、なんだか気恥ずかしくなって、僕はすぐに手を引っ込めた。
それを察したようでモモくんはニッと笑い、照れんなよ〜と肘で僕の肩を小突いた。
そして、一呼吸置いてから僕に提案をした。
「……なぁ祐貴、明日から、俺と一緒に食べようよ」
「え?」
「お昼、いつも一人だろ?良かったらどう?他の奴らも混じえて」
「え、でも、僕人見知りだし…」
「そんなのすぐなれるよ。俺とだって、普通に話してるじゃん」
確かに、と頷く。
「同じクラスの一ノ瀬と椎名って分かる?俺あいつらと仲いいんだけど。二人とも良い奴だからさ。そいつらとーーー」
モモくんがそう言いかけた時。
《ヴーーーー、ヴーーーー》
僕のポケットの中で何かが振動した。その音にモモくんも反応する。
僕はすぐに気が付いた。
(サキくんからメールだっ!!)
さっきのメールの返事が来たんだと思い、
モモくんに、ちょっと待ってねと断ったあとポケットの中で振動を続けるケータイを急いで取り出す。
しかし予想は少し外れていた。
その画面を見ればメールではなく、着信だった。
佐木と電話をするのは初めてであった。いじめるときいつでも呼び出せて便利だからと強制的に交換させられた番号だったけれど、今は使い道が違う。
ドキドキする胸を押さえながら通話開始ボタンを押した。
「もしもし!サキくんっ?」
早く声を聞きたくて早口になりながら名前を呼ぶ。僕の口から飛び出た名前を聞いて、横にいるモモくんの表情が強張る。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 79