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傷だらけ⑤
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唖然とする二人を前に、当たり前のように佐木のシャツを脱がしにかかる美代子。
「な、な、なにしてるのお母さん」
シャツのボタンをひとつずつ外していく。
佐木の顔がみるみるうちに赤くなる。
「何してるって、何も変なことしないわよ〜」
言いながらシャツを脱がし終えたあと佐木に背中を向けさせた。その時、シャツに隠れていた痛々しい痣と傷があらわになる。
その痛々しさに思わず目を背ける。
一体、誰がこんなことを…。
「背中も手当してあげないとね」
そう言って救急箱を手に取った。器用な手で包帯を巻いていく。
「あのシャツは洗濯しておくから、その間ゆうちゃんの服貸してあげてね」
「うん、わかった」
「……‥……」
されるがままの佐木は黙って俯いている。
腹と背中に回される包帯を巻く手に、抱きしめられているような錯覚に陥り戸惑っているようだ。
「…よし、終わり!」
綺麗に巻かれた包帯に満足そうに微笑む美代子。そうして手際良く救急箱を片付ける。
「お風呂は今日は入らない方がいいわ。傷も痛むだろうし。入るときは包帯は外してね。」
ひと通り説明したあと血で汚れたシャツを手に取り立ち上がる。
「本当は病院に行ったほうがいいと思うんだけど…」
「…………」
「その様子だと、行きたくないって感じね。」
図星を指された佐木は、バツが悪そうにみけんにしわをよせた。
「サキちゃん、何があったのかは分からないけど、あんまり無理しちゃだめよ」
「べ、つに、無理なんて…」
唇を尖らせる佐木の頭を軽く撫で、微笑んだ。
「何はともあれ、今日は好きなだけゆっくりしていってね。」
美代子はお邪魔しました、と手をひらひら振って部屋を後にした。
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