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無意識⑤
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初めての、キスだった。
相手からの気持ちも、意思もない、一方的なキス。
後悔の念が支配する。こんな気持ちになるのなら、やめておけば良かった。
「ほ、ホントにごめんね」
眠っているサキくんに、罪滅ぼしの様に謝る。
深い眠りについているのだろう。返事は無い。
やはり、薄目を開けていたものの、あの『いいよ』は寝言だったのだ。僕は、彼が寝ぼけて言った言葉を本気で捉えてしまったという訳で。
考えれば考えるほど苦しくなる。
誰にも言えない秘密が1つ増えてしまった。
「……はぁ」
後悔と興奮に苛まれ頭を抱えるも、とりあえず落ち着こうと椅子に座り机に突っ伏した。
それから10分ほどしてから。
宿題の続きを始めるも、まるで手につかない。あと数問で全て解き終わるのに。
働かない頭を掻きむしり小さく呻いた後、空っぽの頭のまま天井を見上げた。
ーーーコンコン
ドアをノックする音がした。
予想外のタイミングに思わず体が跳ねる。
「は、はい!!」
「ゆうちゃん、お布団持って来たからドア開けてくれるー?」
お母さんだ。
慌てて立ち上がりドアを開くと、目の前には敷布団と掛け布団、さらには枕まで、見事なバランス感覚でその全てを落とさず抱える美代子がいた。その積み重なったボリュームで顔が見えない。
落ちる落ちると言いながら、部屋に入り持って来た布団をボフっと音を立て床に置いた。
「お母さん、ごめん、重たかったでしょ?言ってくれれば手伝ったのに」
謝る僕に平気よ、と笑いながら布団を丁寧に広げ、僕の寝床を作ってくれた。
ふと視線をあげ、僕のベットでスヤスヤ眠る佐木を見る。
「サキちゃんは寝ちゃったのね」
「あ、うん。」
つい先程あの唇に触れてしまったことが頭をよぎり、思わず視線が揺らぐ。
「ベット、かなりスペース開いてるし、お布団持って来なくても良かったわね」
確かに一人で寝るには少しばかり大きめのサイズではあるけれど流石に二人で寝るとそれなりに窮屈だろう。布団があって正解だと言おうとした時ー。
「せっかくだし、ゆうちゃんとサキちゃん、一緒のベットで寝たら?」
母の口から思わぬ提案が飛び出た。
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