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サキくんのお家
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家を出てから、かなり歩いた。
入り組んだ路地を抜けると、ブロック塀に囲まれた家があるようだが、僕の身長ではその全貌が見えない。ブロック塀の途切れた部分があり、どうやらそこが入り口らしい。そこで佐木くんが足を止めた。
「ここ入ったら俺んち……なんだけど…」
「けど?」
「この中には、ぜーーったい入ってくるな」
わかったか?と真剣に言うサキくんに笑顔で頷く。
「わかった!」
「覗くのもダメだからな」
「はいはい」
「ハイは一回」
「はーい」
そう言って何度も念を押す。よっぽど家を見られるのが恥ずかしいんだろう。ボロくて汚くて嫌だと言っていたこともあったし。
別に引いたりしないから、気にしなくても良いのにと思ったが、口にはしなかった。
「んじゃ、すぐ着替えてくるから…。ここで待ってろよ」
「うん」
ーーとは言ったものの。彼の家がどこにあって、どんな家なのか、気になって仕方のない僕はバレないようにブロック塀から顔だけ覗かせその背中を目で追った。
「お〜、一軒家だ」
中には2階建ての大きな家があった。立派な家ではあるけれど、庭には雑草がかなり生い茂っており、伸び放題の草木を見ると、お世辞にも手入れされているとは言い難かった。
その先には洋風のドアがある。これまた小洒落た玄関だけど、頭上には蜘蛛の巣がかかっておりやはり手入れが行き届いていないようだった。
そのドアを開こうと、サキくんが手を伸ばした時、ドアが勝手に開き、中から長身の男が出てきた。それを見て、慌てて顔を引っ込める。
一瞬しか見えなかったが、パッと見、年齢は二十歳そこそこだった。スリムな体型と、イマドキ風にセットされた黒髪は女の子に人気のアイドルのようで、いかにもモテそうであった。
きっとあれが、サキくんのお兄ちゃん。
僕は壁に背中をもたれた。
程なくして、話し声が聞こえてきた。盗み聞きする気は無かったが、こんな近くにいては自然と耳に入ってくる。
「あれ、光。帰ってきたの?中学生が朝帰りとか、超ナマイキじゃ〜ん。」
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