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険悪⑤
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ひとり肩を落としていると、勢い良く扉が開かれた。
「おい、倉橋!」
「さ、サキくん?!」
中から出てきたサキくんを見て僕はギョッとした。
ズボンは履いているものの、制服のシャツの前が全部開いていて、胸やらおへそやらが丸見えなのだ。
おそらく、着替えの途中で出てきたのだろう。
彼の身体を見た途端、心臓が跳ね上がり顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「そそそそその格好っ!」
「ああ?格好?」
「は、肌がっ…そのっ…えと」
朝っぱらから、興奮しすぎてしどろもどろになる僕を見て、何言ってんだこいつ的な目をしながら「意味わかんねえ」と呟かれた。
「んなことより、ちょっと聞きたいことあんだけど」
サキくんは焦る僕を無視しながら、ケータイ片手に真剣な顔をしている。
「昨日、電話きただろ?」
「…電話?」
「うん。俺のケータイから、着信あったろ?」
「あぁ、あった!昨日のお昼に…」
落ち着きを取り戻すべく、サキくんを見ないように話そうとするが、サキくんは逆に、僕の顔を覗き込むようにして話しかけてくる。
「相手、何か言ってたか?」
「や、何も…。無言電話だった」
「本当に?」
「うん。」
「…あ、そう。ならいい」
そう言うと、何事もなかったかのように、シャツのボタンをとめ始めた。
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