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不仲④
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その時、ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴った。
「ホームルーム始めるぞ〜みんな席つけ〜」
担任教師が教室に入ってくるや否や、サキくんは胸ぐらを掴んでいた手を離す。
「…………っ」
そして何も言わずモモくんを睨みつけ、逃げるように教室を後にした。
「サキくん、どこ行くのっ」
足早に去っていくサキくんを呼び止めようとするが、その背中はすぐに見えなくなってしまい、僕はただ彼が出て行った後のドアを見つめるしかなかった。
静まり返った教室と、急に飛び出ていったサキくん。それを見て先生もキョトンとしている。
「…何か、あったのか?」
そう尋ねるが、ももくんはその問い掛けに対して何も言わず、黙ってその場に立ち尽くしたまま。
「百城?」
先生が再び声を掛けると、ハッとしてようやく顔を上げ「…何でもありません」と静かに答えた。
それから全員に早く席につくように促し、いつもの風景になったところでホームルームが始まった。
そのあいだ、僕はサキくんがモモくんの手を振り払った理由を考えていた。
なぜあんなに拒絶していたのだろう。
1人サキくんの心境を考えているうちにホームルームも終わり気づけば授業が始まっていた。
それでも僕は、授業なんてそっちのけで、二人を仲直りさせるための予定を自分なりに考え頭の中で組み立てていた。
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