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理想②
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倉橋 祐貴
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「だーかーら!俺は絶対あやまんないって言ったろ!!」
「だーかーら!謝るんじゃなくて、サキくんのこともっと知ってもらいにいくの!」
放課後。僕はサキくんにある作戦を話した。
それは、サキくんとモモくんの心の距離を、どうにか縮めるために僕が思いついた、唯一の方法である。
…と言っても、極々普通の、シンプルなもの。
「サキくんがモモくんにホントの事を言う!それだけだよ?」
たったそれだけ!
それ以上でも、それ以下でもない。果てしなくシンプルかつ簡単な事。口さえあればできること!
僕の提案に、もちろん、サキくんは…
「さっきから嫌だって言ってんだろ!」
…このざまである。首を縦にふるわけがなかった。
皆が帰ったあとの教室でノロノロと帰りの支度を始めている。ここまでなんとか食い止めていたものの、もうすぐにでも立ち上がり、この場から去ってしまいそうである。
「モモくんの委員会の集まり、終わっちゃうよ。一緒に迎えに行こうよ」
「知るか」
「このまま誤解されっぱなしじゃダメでしょ?ホントは素直になりたいんでしょ?サキくんだって言ってたじゃん」
「…そっ、それはそういう意味で言ったんじゃない」
「じゃあどういう意味なのさ~」
「…うるせぇなぁ」
「サキくんおねがいだよー」
「無理だってば!もう帰る!」
グダグダな会話を繰り返しながら引き留めようとするが、サキくんの意思は固いようだ。
「待ってよ~!」
「待たない」
もう粘るのは無理かもしれない。
仕方ない。奥の手を使おう。
本当はこんな事言いたくなかったけれど。
カバンを持って教室から出ていこうとするサキくんの背中に、僕は大きな声で叫んだ。
「僕の言うこと聞いてくれないと、今日お家泊めないからねっ!!!」
「…‥……」
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